大空を見上げれば
世界中の誰とでも世界を
共有できるのに
下ばかり向くなんて勿体ない
曇っていても大雨でも
上を向いてみれば
雲の先には必ず
光があるはずだから
それでも光が見つからなければ
いつかの青空を思い出して
光を見つける手掛かりを見つけられるかも
世界を見つめて
自分の今いる場所から
世界に大きな返事をしよう
この宇宙に自分は存在しているのだと
生まれたて空のグラスは無色透明
人から初めて注がれた愛
純粋な赤い愛色は
妬みや蔑みが注がれるうちに
赤黒く醜くなった
次第に愛したいと思う人を見つけた
その人に少ない愛色をあげた
私は黒一色
他人からの評価、自己嫌悪
自分と周りの差、黒は影が濃くなる
薄まらない闇色
耐えきれなくなったグラスは
表面張力を越えた
空になったグラスにもう一度
誰かからの愛を求める
ごめんね
病気で生まれた私の母の口癖
ごめんなさい
私を馬鹿にしたクラスの男子が
先生に促されて渋々口にした言葉
すみませんでした
取引先に頭を下げる私の口から
出た言葉
申し訳ございませんでした
隣で頭を下げる上司から
繰り返される言葉
ありがとう
私が言ったことも
直接聞いたこともない感謝
ありがとう
人生ではじめましての声
落とし物を拾っただけなのに
私だったら手を煩わせた事実で
頭がいっぱいになって
平謝りになるだろう
目の前の男性は
そんな様子微塵もなく
笑顔で感謝を述べる
私はずっと探していた言葉を見つけ
目から涙が流れる
彼が慌ててハンカチを差し出す
そんな彼に一言
ありがとう
部屋のすみで鳴く小鳥
ピーピーとこんな狭い場所から
逃げたいと
助けを求めるように泣く
無くした
大切を辿るように
あの日の誰かを思っている
たくさんの青い空
優しい笑顔のトモダチ
空想はどこまでだって
続いている
目の前にあるのは
狭い狭い檻
暗くて寂しい
ピピッと鳴る
久しい音から目を背け
布の被った部屋の隙間を見つめる
飛び立ってしまいたい
こんな重たい部屋から
でも、僕にはできない
小鳥のような
翼は僕には無いから
酷い咳、体中が燃え尽きそうな体温
時々催す吐き気は喉で止まり
気持ち悪さのソロステージ
眠れない、寝たくて寝たくて
早く楽になりたいのに
私が私を寝かせてくれない
「大丈夫?早く元気になれよ」
暗い部屋を照らす
スマホの通知、クラスの男子
大丈夫じゃないよなんて、
悪態つきながら相手には
愛想良く返信する
眠れないほど苦しいのは
風邪のせいか?それとも