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8/3/2025, 8:27:15 AM

波にさらわれた手紙

「先輩!」

海辺の高校から、堤防沿いの歩道へ。
帰路につく後ろ姿を追いかけて、声をかけた。

「これ、読んでください」

極度の緊張で可愛らしさの欠片もない顔なんて見せられなくて、俯きがちに手紙を差し出す。

「俺に?」

戸惑いがちの声に、こくり。
あからさまにならないようにと考え抜いて、爽やかなブルーの封筒に包んだ、私の気持ち。

が。

びゅわり。

吹き飛ばされた。
突風に煽られて、海の方へとひらりひらり。

ぺしょりと、濡れた砂浜に落ち。
サバンと、小波に喰われて消えて行った。

「え」

体感、秒の出来事だった。

「ごめん!」

慌てて砂浜に降りようとする先輩のカバンを、咄嗟に掴む。

「え」
「あ」

ななな、なんで引き留めちゃったんだろう。
でもでも、びしょびしょのラブレターなんて。

おろおろして、離した私の手を。
今度は、先輩がつかんだ。

「手紙、ごめん」
「いいいい、いいえッ」

「直接、聞かせてくれる?」

まじか!!
波よ、手紙を返してくれ!!

8/2/2025, 6:53:03 AM

8月、君に会いたい

揚げなす。
君しか勝たん。

盆の帰省。
山奥のばあちゃんち。
ばあちゃんが作ってくれる、揚げなす。

もちろんなすは、ばあちゃんの畑から。
朝どりの、ツヤッツヤな、七三ヘアがバチッと決まった紳士めいた、イケなす。

厚めの輪切り、そのまま素揚げ。
濃いめの焼き色、びったびたに油を吸った、なす。

煮浸しなんかにはしない。

そのまま、生姜醤油でいただく。
相棒は、もちろん白米一択。

余計なものはなにもいらない。
ビールすらじゃまである。

熱によってとろけた果肉と、油がからみあい、
じゅわりと広がる甘味を、生姜醤油がピリリと引き締める。

米、米が進んで仕方ない。

美味いかい?

にこにこの笑顔で聞いてくるばあちゃんという存在が、
何よりのうま味調味料。

盆が待ち遠しい。

8/1/2025, 8:08:31 AM

眩しくて

まっすぐな眼差しが突き刺さる
負を顧みぬ心根にえぐられる
その無限の可能性に呼吸をわすれる

若さに
息の根をとめられる

7/31/2025, 1:14:23 AM

昂る。
荒ぶる。
駆け巡る。

この胸を持つ、熱は何だ。

驚喜か。
さらなる。
狂喜か。

沸き立つ。
熱い、鼓動。

7/30/2025, 6:21:31 AM

タイミング

あなたが目をさます前に、目覚めた日。
あなたが目をさます瞬間を待つ、このひとときがすき。

ゆるゆるの寝顔。
寝息はやすらか。
おでこは全開。
まつげがふさり。

すうっと。
深く、息がすわれて。

のびきった眉間が、きゅむと寄る。

ふるえるまつげ。
こまかな瞬き。

あなたの指先がシーツをたどり。
ふれる、指さき。

わたしをみつけて。
照れくさそうにわらう、その瞬間。

とくんとはねる、わたしのこころ。

だいすき。
だいすき。
あなたが、だいすき。

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