澄んだ空気、透き通った水
水晶、ダイヤモンド
人は透明なものを美しいと思う。
反対側が見通せるほどに濁りがない様を尊く感じるからかもしれない。
透明さは人の様を形容するときにも使う。
その人が持つ澄んだ空気や純粋さを感じ、尊く思うのだろう。
私は何かに真摯に向かい合い、打ち込む人を見ると透明さを感じる。
その姿に美しさ、尊さを感じる。
私もいつか、透明さを体現できるほどに、本気で打ち込めるものに出会えたら、幸せだと思う。
#透明
――「理想のあなた」を頭の中で思い描いてください。
今、頭に浮かぶイメージはあなた自身の姿をしているでしょうか?
世の中には知らない誰かが提案する理想の姿で溢れています。
もしも、頭の中でイメージする理想のあなたが、別の誰かの姿をしているのなら。
立ち止まって深呼吸し、頭の中を空っぽにして「私の本当に理想とする姿は?」と問いかけてみてください。
あなた自身の姿をした理想のあなたが見えるかもしれません。
#理想のあなた
人にはご縁があってね。ご縁がある間は関係が続くもの。ご縁が無くなると、それまで毎日のように会っていてもパタリと連絡がなくなったりするものよ。
それが先生の口癖だった。
物心がつく前から習っていたバイオリンは、母が好きで子供に習わせるというよくあるパターンで始めたものだった。
長い年月の間には「辞めます」といったことも数回あったが、母と先生に諭されて趣味として大人になるまで続けてきたから、僕には合っていたのだろう。
ただ、ここ数年は仕事が忙しくて練習を休むことも多くなっていた。
頑張れば通えるけど、日々の疲れに負けた。
いつでも復帰できるという過信もあった。
そんな中で先生から電話があった。
入院して手術することになり、年齢的にも教室を続けるのが難しくなってきたのでこの機会に閉める、という連絡だった。
続けたい生徒には先生の教え子が開いてる教室を紹介します。と言っていただいたけれど、他の先生に師事するのも違和感があってお断りした。
それ以来、バイオリンにはほとんど触れていない。何となく手に取る気分にならない。
今でも家に遊びに行くことはあるから先生とのご縁は続いているけど、バイオリンとの縁は切れてしまったのかもしれないな。
ふと、そう思った。
#突然の別れ
アナタと私の恋物語。
出会いは春。社員研修で。
私は新入社員、アナタは臨時の指導員。
要領の悪い私は注意されてばかりで、
自宅で独り泣くことも。
夏。
配属先はアナタと同じ部署。
またアナタに怒られるのではないかと、最初は密かに怯えてた。
でも実際はそんな事は欠片もなくて。
とても頼りになって、優しい先輩だった。
ふとした瞬間にアナタの姿を探して。
見つけたら目で追ってしまう。
…いつの間にか好きなっていた。
秋。
同じプロジェクトに参加することになった。
チームのサブリーダーのアナタと、いちプロジェクトメンバーの私。
それでも話す機会は格段に増えて。
アナタに失望されないようにと一生懸命に仕事に取り組んだ。
冬。
プロジェクトメンバーで何度か開催された親睦会。
自然とプライベートな話もするようになって。
初めて知った共通の趣味。
女性で釣り好きなのは珍しい、と話が弾んで。
一緒に行こうと誘われた。
二人きりではなくて、釣り仲間と一緒だったけれど。
仕事以外の時間も一緒に居られることが嬉しくて、胸の高鳴りが聞こえてしまうのではないかと。
いつも気が気じゃなかった。
アナタから誘ってくれた私の誕生日。
初めての二人きり。
定番のデートスポットではなくて、
よく釣れると評判の釣りスポットで。
アナタが言ってくれた「好きです。」の一言は、私の一番幸せな瞬間になった。
同じことで共に喜び。
違うことで共に悲しみ。
喧嘩もしたけど、ずっと一緒に居てくれた。
そんなアナタと私の、
これから始まる家族の物語。
#恋物語
――人生時計って知ってる?
いつだったか君が話してくれた。
――人間の一生を一日で例えるんだって。
何気ない日常をふと思い出した。
――人生80年として、0歳が0時で80歳が24時。
いつでも一緒に居た。
毎日が幸せだった。
――今の私達だと…午前4時くらい。
――まだ夜明け前って凄くない?
きっかけも忘れてしまった小さな喧嘩。
――24時までずっと一緒にいてね!
今はもう、謝ることも出来ず。
君は居ない。
#真夜中