もち

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7/10/2024, 11:21:27 AM






 目が覚めると、
 見覚えのないブランケットが、私を包んでいる。

 私の隣のスペースは既に冷えきっていたから
 あなたが今世に留まっていた理由が
 とうに無くなっていたことを知った

7/9/2024, 11:52:18 AM


 


 あなたにとって当たり前の優しさが
 私を特別な人みたいな気分にさせてくれるの

7/8/2024, 10:25:14 PM

 鳥居の周りは、明るく人で賑わっている。

 丘の上の狐は耳を立て、首をピンと伸ばしその光景を眺めていた。
 それは毎年夏が訪れると、催されるものである。
 ゆらゆら揺れる提灯に、小気味いい囃子の音。色とりどりの屋台と、景気の良い話し声。
 
 人間たちは、各々、自分とは違う誰かの面を頭に引っ掛け、やや動きにくそうで涼やかな衣服を身に纏っている。
 何かの匂いが鼻をくすぐる。肉の焦げたような、胃袋を刺激するような匂いは、普段の狐が口にすることのない匂いだ。
 きっと、あれだ。母親に手を引かれた小さい子供が、焦げ目のついたとうもろこしにかぶりついていた。

 もう少しだけ、近づいてみようか。そう考えるも足の動かない日々が続いている。

 いつか行ってみたいと思う。それにはもう少し上手く、この尻尾を上手く隠さなきゃならないんだけど。

7/7/2024, 10:28:49 PM




「何をお願いしたの?」ときみは無邪気に僕へ問う。

 僕を信頼するきみの瞳があまりにもきらきらしていたから、
 私は咄嗟に嘘をついた。

7/7/2024, 4:07:05 AM

さっちゃんは特別な男の子が好き

 頭が良い坂口くん。サッカーのうまい大倉くんに、楽器が得意な神崎くん。何かの大会で賞を取ったなは、伊藤くんだったかな。どの子も何かに秀でていて、普通の子とは違う特別な男の子。

 さっちゃんは普通の子。普通に可愛くて、普通の身長で、普通に優しい子。強いて言うなら、さらさらのロングヘアーは素敵。それを括ったポニーテールが揺れる姿を見ると、私の胸はいつもざわついてしまう。

 さっちゃんは奥ゆかしい。いつも気になる男の子たちのことを、彼女は目で追っているだけ。話しかけもしない。関わりもしない。「それで良いの?」って聞いたことはあるけど彼女は笑うだけ。「いいの、それだけで良いことがあるから」、そして彼女は笑うだけ。不満そうな表情一つ見せない。

「さっちゃん」
「なに、みなみちゃん」
「坂口くんと付き合うことになったの」

 すると、さっちゃんは大きく目を見開いて、ふんわりと笑む。涼しげな目元を柔らかく細め、私を見つめてくれる。

「おめでとう、みなみちゃん」
 
 心底喜んでいると言いたげな彼女は、いつだって私の幸せを祝福する。本当に?嬉しいと思ってる?私はさっちゃんの好きな人と付き合ったのに。

 ふぅん。
 坂口くんへの気持ちが一気に萎んでいく。しばらく彼氏と一緒に帰ると伝えると、「わかった」と返す聞き分けの良い友達を、私は嫌いで仕方がない。

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