<ぬるい炭酸と無口な君>
放課後の教室
制服のままの僕らは
ゆらり揺れるカーテンの隙間から
遠く響く部活の声に耳を澄ませていた
夕焼けが窓を朱に染めて
君の横顔が少し翳りを帯びる
他のクラスメイトには
「うん」「まあね」くらいしか言わない君が
僕にはぽつりぽつりと
日々のことを話してくれる
「ねえ、これ…もう炭酸抜けてるよ」
笑いながら差し出した缶を見て
君は肩をすくめた
「うるさいな、炭酸嫌いなの。間違えて買っただけ」
「じゃあ、もらっていい?僕、好きだから」
そのとき、ふたりの笑い声が
教室にふわりと溶けた
言葉は多くなくても
心は確かに触れ合っていて
でも、どこかで分かっていた
こんな時間がずっと続かないことも
「夏、終わるね」
ふと、君がそうつぶやいたとき
僕は返事を飲み込んだ
高校最後の夏
制服のまま過ごした放課後の記憶は
これからの僕を
何度も立ち止まらせるだろう
でも君の笑顔だけは
まだこの胸で
静かに泡立っている
虹の始まりを探して
虹を見つけた朝
君と笑って走り出した
心が跳ねて
夢が膨らんで
「きっと、いいことがある」って思えた
でも──
たどり着いた虹の終わり
そこに君はいなかった
光は消えて
夢はなくて
残ったのは
静かな風と切なさだけ
『小さな愛』
「じゃあね」って笑った声が
雨にまぎれて消えた夕暮れ
となりにいられる理由が
恋じゃなかったこと
ずっと気づいてた
好きだった
でも
きみの世界に
わたしはいなかった
「夢を描け」
詩をかいて
ボロボロのノートに未来を描く
笑い合う声の裏
ひとりの夜が滲んでく
明日を信じるしか
ぼくにはできなかった
…それでもいいと思った。
君が笑えるなら
「青い青い」
色に意味はあるけど
それが全てではないと思う。
僕は青が好きだけど
悲しくもないし、辛くもない。
…青って、いい色だよね。
静かに胸の奥が、ひんやりする。
君は僕の事心配する必要ないよ。
だって君はイエローなんだから。