犀川

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<ぬるい炭酸と無口な君>


放課後の教室
制服のままの僕らは
ゆらり揺れるカーテンの隙間から
遠く響く部活の声に耳を澄ませていた

夕焼けが窓を朱に染めて
君の横顔が少し翳りを帯びる

他のクラスメイトには
「うん」「まあね」くらいしか言わない君が
僕にはぽつりぽつりと
日々のことを話してくれる

「ねえ、これ…もう炭酸抜けてるよ」
笑いながら差し出した缶を見て
君は肩をすくめた

「うるさいな、炭酸嫌いなの。間違えて買っただけ」

「じゃあ、もらっていい?僕、好きだから」

そのとき、ふたりの笑い声が
教室にふわりと溶けた

言葉は多くなくても
心は確かに触れ合っていて

でも、どこかで分かっていた
こんな時間がずっと続かないことも

「夏、終わるね」
ふと、君がそうつぶやいたとき
僕は返事を飲み込んだ

高校最後の夏
制服のまま過ごした放課後の記憶は
これからの僕を
何度も立ち止まらせるだろう

でも君の笑顔だけは
まだこの胸で
静かに泡立っている

8/4/2025, 3:41:16 AM