あまり

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7/30/2023, 11:29:14 AM

ときおり瞳の中に
悲しみをたくわえて
黒々とした湖を持つ人に会う
心ない人がいたずらに石をなげ入れ
水面が波立とうと
濁ることのない 深い湖
どうかそこにすまう
魚にはならないで
心のかよう生き物でいてほしい
けれど
砂漠に隠された井戸のような
それを美しいとも思った
無理に枯らさなくて
いいんじゃないかな
その水でしか
潤わない渇きがあるのなら


『澄んだ瞳』

7/29/2023, 12:53:34 PM

嵐の去った森の
昨日まではなかった池に
水鳥がおとずれ
沈んだ宝物をさがしている
昨日まで開いていた花を
雨風がひどく散らしても
緑ははいっそう萌えて
命はいたってにぎやかだ

ここに咲いていた花を
沈んでしまった花を
明日までは覚えていようと思った
あまりにも目まぐるしい変化に
時々おき去られそうな心を抱えて


『嵐が来ようとも』

7/29/2023, 1:16:01 AM

はぐれないようにって
服のすそを掴もうとする君
のびるからやめなよって
宙をさまよう手をとって
りんご飴をふたつ買った

こはく色に光るりんかくの
まっ赤で丸いそれは
大きくて固くて食べづらい
あんのじょう 苦戦している君
でも怒りもせずになんだか楽しそうだ
値段は少し高いけど
可愛いからしかたないね と
口いっぱいに甘さを頬張る夏


『お祭り』

7/27/2023, 12:26:13 PM

"もうおやすみ
夜はふけた
ベルベットの暗闇が
優しくまぶたをくすぐっても
きみたちはそれをはらおうと
無闇に明かりをふりかざして
子供たち
だだをこねず
もう寝ること"

暗がりから誰かが息を吹いて
ロウソクの灯りがかき消えるように
街の明かりは一斉に消えて
すると今度は
空いちめんに星が
降り落ちんばかりに瞬いて
天上にお住まいの神様たちも
今夜はずいぶん
夜ふかしのようですね


『神様が舞い降りてきて、こう言った。』

7/16/2023, 12:50:48 PM

ハロー
空が高すぎるこんな日は
不安なんです
風船のように
どこまでも飛んでゆく妄想
水面を見つめるときの
めまいに似ている

おばさんにもらった風船のひも
離してしまってごめんなさい
私がぼんやりしていたばかりに
あっとゆう間にそらに吸い込まれて
よるべなく飛んでいく姿が
ずっと小さくなるまで見えていた

ハロー
きみは月の衛星になって
なんてこともなく きっと
寒すぎる大気に破裂してしまった
そんなことが思い浮かぶ
うっかり落っこちてしまいそうな
青すぎる空

『空を見上げて心に浮かんだこと』

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