あまり

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4/1/2023, 1:42:14 AM

美しいものを君に

窓ぎわのサボテンの
頭にピンクの花冠をのせて
甘やかに色づく東のそらを
星々が列になって旅をしているよ
薄闇に小さな羽音が灯り
ほどけた水のにおいが喉を潤して
目覚めた春をゆきかう人々の
さよならとはじめましてのあいだに
福音のつぼみがたくさんゆれているよ
どうか
幸せになって
この美しい季節のすべてが
君のものだから


『幸せに』

3/30/2023, 9:43:45 PM

君が何気ないふりで抱えて歩く
心にぽっかりあいた穴に
風がとおって鳴る音を
僕はときどき
聞いてしまうことがあるんだ

それはやわらかな土笛の音色
夜を纏う梟のうた
銀河をさまよう汽笛

生まれたばかりの雛鳥の喉のふるえが
小さな蝶のはばたきが
身体の内に巣食う暗闇の
がらんどうをふるわせて
僕の心もふるえている

あちらこちらで風がおこり
孤独な心の共鳴が
音楽のように世界をみたしている
何気ないふりで抱えて歩くものを
知らせている


『何気ないふり』

3/29/2023, 12:48:45 PM

もしかしたらずっと
蛇足の世界を生きているのかもしれない

より添う仲直りの恋人たち
まどろみながら布団へはこばれる子供たち
飼い主の足もとでまるまる動物たち
どこかで美しい物語がとじて
安らかな息が大気をみたす
退屈な夜
温かな部屋
コップの中のミルク
窓辺のきらきら星

日々おとずれては去っていく
ちいさなパッピーエンドを
紙に書きつけたり
口ずさんだりして
幸せな物語にはいつまでも
ひたりたくなってしまうね
私はきっと
ずっとどこかの誰かの
エピローグの世界を生きていて
だからここはあたたかい


『ハッピーエンド』

3/27/2023, 12:31:40 PM

わたしの心をあげる
病にでもかかったというのか
最近 鉛のように重たくて
だから
少しずつ 少しずつ
毒を盛るように
あけわたしてあげる
あなたの
盛った毒が
わたしを蝕んだように


『My Heart』

/

神さま 神さま
わたしだけの
神さまがほしい


『ないものねだり』

3/25/2023, 11:55:08 PM

好きじゃないのに
目が離せない
好きじゃないのに

夜ねむる前の天井にあらわれた黒点
明かりをつける勇気がない
さりとて目蓋を閉じる勇気も持てず
どうか動くな こちらへよるな
ただの染みであってくれ
ただじっと息をひそめて 見つめる

目が離せない
好きじゃないのに
目が離せない


『好きじゃないのに』

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