これからも、ずっと君を見ていたい。
これからも、ずっと君と話してたい。
これからも、ずっと君と笑ってたい。
これからも、ずっと君を支えてたい。
これからも、ずっと君を応援してたい。
これからも、ずっと君と隣合っていたい。
これからも、ずっと手を伸ばせば触れられる距離で。
これは決して色恋の滲む感情では無い。恋愛では無く友愛であり親愛であり敬愛である。君は私の親友で相棒で憧れで。心の底から大好きだけれど、致命的に恋じゃない。
「なぁ……俺、これからもずっとお前と居たい」
道が重なる最後の日、桜舞う中で君は言う。
「……そんなの私だって一緒に居たいよ」
「じゃあ俺ら付き合うか」
「何言ってんの、私ら別に恋してない、よね……?」
「まぁ、そうだな?でも一番手っ取り早く一緒に居られるじゃん」
飄々と言ってのける君に呆れる私。今日で終わりを迎える今までの日常。
「それに。お互い恋は無いけど愛はある、だろ?」
嗚呼、あぁ、君はなんて事を。
してやったりと笑う君にムカついて、力一杯その背を叩いてやった。
「しょうがないから、親愛なる私が付き合ってあげる!」
「いってぇな、こんにゃろ!……格好良くなる俺に惚れんじゃねーぞ?」
「そっちこそ綺麗になる私に惚れないでよね!」
ふっ、あはは。顔を見合わせ笑い合う。君と私はこれからもずっと一緒らしい。
今日終わらなかった日常はこれから先もずっとずっと続いてく。
2024.04.08夜『これからも、ずっと』♯2
沈む夕日が街や山の木々、そして空を燃やす時間が一等好きになったのは確か俺が小学生の頃だった。日が沈む間際の一時、夕日が燃やした見渡す限りの強烈な銀朱に目も心も奪われたのを覚えている。
今はもう季節すらも覚えてない程に遠い記憶。それでも見慣れたオレンジ色とは全く違う、いっそ怖いくらいの唐紅とも思える朱に染まったあの景色は今尚鮮明に焼き付いている。
結局、あの景色を見ることが叶ったのは片手の指で事足りる程度だったように思う。上京してからも数回そういう時間を見たはずだが、当時のように琴線に触れる事は無かった。畏怖や憧憬を抱くようなあの時間の景色は、バスさえも通らない山の上から見たからこそなのか、はたまた幼い心であったからこそ揺らされたのか。大人になって故郷へ帰ることが減った俺はまだ知る事が出来ずにいる。
願わくは、もう一度。沈む夕日が燃やす数瞬の景色に心を震わせることが出来たなら、と。
2024.04.08昼 『沈む夕日』♯1