鴉@引き継ぎ忘れた2代目です

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沈む夕日が街や山の木々、そして空を燃やす時間が一等好きになったのは確か俺が小学生の頃だった。日が沈む間際の一時、夕日が燃やした見渡す限りの強烈な銀朱に目も心も奪われたのを覚えている。
今はもう季節すらも覚えてない程に遠い記憶。それでも見慣れたオレンジ色とは全く違う、いっそ怖いくらいの唐紅とも思える朱に染まったあの景色は今尚鮮明に焼き付いている。

結局、あの景色を見ることが叶ったのは片手の指で事足りる程度だったように思う。上京してからも数回そういう時間を見たはずだが、当時のように琴線に触れる事は無かった。畏怖や憧憬を抱くようなあの時間の景色は、バスさえも通らない山の上から見たからこそなのか、はたまた幼い心であったからこそ揺らされたのか。大人になって故郷へ帰ることが減った俺はまだ知る事が出来ずにいる。


願わくは、もう一度。沈む夕日が燃やす数瞬の景色に心を震わせることが出来たなら、と。


2024.04.08昼 『沈む夕日』♯1

4/8/2024, 4:47:34 AM