小さい頃のイマジナリーフレンドを今でも覚えている。
名前はぴょこちゃん。
くまの耳が目に見えてかえるだと思ってつけた名前。
小さい頃、よくサイダーを飲んだのを覚えている。
祖父母とぴょこちゃんとよく飲んだ。
暑い外から帰ってきて冷たいサイダーを皆で飲むのが好きだった。
うちに帰るのがいつも楽しみだった。
ぴょこちゃんは今、通学バッグにつけている。
いつからか無口になったけど未練がましく一緒にいる。
帰り道は今日の失敗を思い出す時間になった。
……思い出した。昼のサイダーまだ残ってる。
カバンの中のペットボトルは当然あったかい。
炭酸のない、ぬるい炭酸を暑い日差しの中ででゆっくり飲み干した。
手紙を書いても
手紙を書いたことを忘れて
時間の波にさらわれて
数年経ってから出し忘れたことに気づく。
結局何も言えないまま。
もし、誰にでも会えるなら。
私はピーターパンに会いたい。
窓からノックの音が聞こえて、
カーテンを開いたら
赤毛のトンガリ帽子の男の子と
キラキラ光る妖精さんが
私の目に飛び込んできて
星が輝く空を一緒に飛べば
夏の暑さも吹き飛ばしてくれる。
向かい風が涼しくって
心のワクワクと混ざり合って
ぬくい夜に溶けてゆく。
きっと二度と家には帰らないままで
ずっと毎日ネバーランドを冒険できる。
大人になんてなりたくないな…
気づけば7月も終わりだった。
夏休みが始まってからも、始まる前のことも、
もう全然覚えていない。
宿題もせず画面を見て一日が終わる。
ずっとその繰り返しだ。
部活に行くと先輩も同期も夏休みに何をしたか、
これから何をしたいか話している。
みんな楽しそうに笑っている。
自分も笑うけれど、
あの眩しさには勝てない。
切り貼りして取り繕ったって
月が太陽のように輝くことはない。
毎日毎日、日差しが暑い。
私の手は冬の間はいつも冷たい。
手袋をしても冷たいまま。
どれだけ待っても暖かくならない。
そう考えたときいつも思い出す言葉がある。
「手が冷たい人は心が冷たいの」
誰が言ったか忘れたけど。
でも私の心がそうかは分からない。
まだ心と繋がれない。