うめこ

Open App
4/20/2026, 12:30:38 PM

何もいらない

そうだな

旅に出るのはどうだろうか

例えばノートと筆を持って

それ以外は何もいらない

もし彼も彼女も誘惑も、

面倒な用事も関係も、

全て断ち切って踏み出すとしたら

その時は何もいらない

爽やかな風と青々とした緑に囲まれて

それ以外は何もいらない。

4/19/2026, 12:37:51 PM

もしも未来を見れるなら。

カメラを覗いてそのレンズに彼を撮した。
絵になる人だ。単に絵になるんじゃなくて、この人自身芸術の人だから。

「ねぇもし行けるならさ過去か未来どっちがいい?」

カメラから目を離してありきたりな質問をした。彼の気を惹きたかったのかもしれない。

「なにそれ。千紗、急に正気にでも戻ったの?」

ポーズをゆっくりと戻した彼はふわっと笑った。

「いや急に気になったの」

そういうこともあるか、と簡単に共感すると彼はじっくり考え始めた。

「んーどうだろう」

「未来だろうな」

だって過去なんてただのごみ屑じゃん、なんて綺麗な顔で毒を吐く。

「千紗との未来を見たい、俺」

4/18/2026, 2:19:49 AM

桜散る

桜舞い散る中に忘れた記憶と___


有線イヤホンから流れる“春色プレイリスト”
あの頃のあの人がオススメしてくれたから、全部ダウンロードしたあの記憶。


桜が葉桜になって、川には花びらが浮いている。

大学内の川沿いをゆっくりと歩く。
彼女はこの大学にはもう居ない。

「中山くん!」

ゆっくり振り向くとあの人が、あの僕が大好きな笑顔で

「久しぶりに来ちゃった」

お花見だね、一緒に食べよう、と学食のサンドウィッチを片手に上げる。


あぁもうこの人には敵わないな。

「先輩、卒業おめでとうございます」

4/16/2026, 11:43:07 PM

夢見る心

トントントンと屋根裏部屋に雨がメトロノームのように鳴り響く。
一定なようで不定なこのリズムに身体を任せて私は筆を走らせる。

トントントン トントン

ザー

バンッ

カレンダーは4月。30日には赤色のペンでぐるぐると印が付けられている。

この絵はコンクールで、きっと入賞する。大丈夫。大丈夫。

トントントン トントン

大丈夫。私はきっと人気な絵師になる。

大丈夫。出来る。私は出来る。

4/12/2026, 12:34:16 PM

遠くの空へ

「こんばんは」
1人の男がこちらを見てそう言った、
一歩ずつ近づくその足音が怖くて私はそっと後ずさる。目はそらせない。そらせないほどの力強さがそこにはあった。

「馬鹿で浅はかなお姉さん」
「どう?死後の世界は」

肩に置かれた手が冷たくてゾワッとする。
あ、そっか、私、

「わざわざ満員電車に突っ込むとか。いいご趣味だねぇ」

ニヒルに笑った男はどうでも良いけど、と呟いて足元に目をやった。

「まぁあんなところに帰る必要もないけど」


「こっちからしたら、あっちの世界が遠いお空さまな訳よ、御愁傷様」

「私、その、ほんの気の迷いで」

「帰れないよ。」

冷たい目線が突き刺さる。

「後悔しても無駄。あんたが犯したことは大罪。」

「思う存分ここでゆっくりしていきなよ」

これを望んでたんでしょ?と言う。

「見てみなよ。あんたの周りの人間を」

ほらほら、と足で下の世界を指図する。

「悲しんでるようには見えないけど」

そうか。私は。これが嫌で。

「その顔だよ。」

男は、ははっと声を上げて笑った。



-------------------


「こんばんは」

私はそう言って、若い男の子の肩に手を掛ける。その肩の暖かみにゾッとする。

「馬鹿で浅はかなお兄さん、どう?死後の世界は」

Next