『鏡』
目が綺麗。
初対面で一言目に言われるのはいつもその言葉。
鏡を見るたびに思っていた。
にんにくのように大きな鼻。
たらこのように分厚い唇。
そして、大きな目。
目が綺麗と言うのは、
他のパーツが見劣りするあまり
口先から出る相対的な形容詞だと
捻くれた考えをしていた時期があった。
だからよく高い襟の服を着て鼻まで隠していた。
ある日、君は私に聞いてきた。
「そうやってしているのが落ち着くの?」
「自分の鼻と口が好きじゃないからだよ、
目ばかり褒められて余計に気になってしまうんだ。」
私は素直に打ち明けた。
キョトンとして君は言った。
「へぇー、私は好きだけどなぁ」
それからも僕は高い襟で鼻まで隠した。
それをしながら君の言葉を思い出す。
今ではその癖をする意味が昔とは違っていた。
『自転車に乗って』
自転車に乗るようになって行動範囲が広がった。
自転車があればどこにでも行けて
学校終わりに大冒険をしていた。
校区外に出て
子供だけでゲームセンターに行って
違う学校の子達と喧嘩になって、、、
それまで真面目だった僕は、
悪いことをする楽しさを知った。
あの頃から、僕は変わった。
『私の名前』
私の名前を呼ぶ君の声を
忘れることなんてないと思ってた
どうしても思い出せない
いつかまた君に呼んで欲しい
私の名前
『無垢』
大人になると、恋愛とSEXは切っても切り離せない。
特に男の子は早い段階から意識する人が多いと思う。
僕もそのうちの1人。
だけど君への愛は純真無垢に10年も続いた。
僕にそんな恋愛がもう一度出来る時が来るのだろうか。
『終わりなきたび』
高校受験のために必死に勉強した中学時代
大学受験のために必死に勉強した高校時代
就活のためにガクチカ作りに励んだ大学時代
昇進のため合間を縫って資格勉強する社会人前半
定年後のためお金を貯める社会人後半
残った貯金と年金でなんとかやりくりする老後
なんのために僕たちは『今』を生き抜くのだろうか。