コハク

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2/16/2025, 11:13:29 PM

t「時間よ止まれ」

『時間(とき)よ止まれ』
そう私が呟くと周りものが緩やかに止まっていく。全てのものの動きが止まり、その空間を私だけが異物のように動く。
今にもトラックに引かれそうな人を救出する。この救け出した人がどんな人で生きたかったのか死にたかったのか、私には分からない。でも、目の前の救える命は救いたい。
人を動かすのも流石にもうキツイかな…何か方法を考えないと…。
時間を止め続けた代償なのか、私だけは時間が正常に進んでいる。最初は数秒だけの小さな歪みだった。その数秒が積み重なり同い年の子たちより私は明らかに老け始めた。精神は幼いまま見た目だけがいつの間にかもうおばあちゃんになっていた。体が重くて毎日動き出すのも辛い。でも、目の前で誰かが死ぬのが嫌だから、私は見てしまったら今日もきっと時間を止めてしまう。私の命が止まるまで。

2/16/2025, 12:11:07 AM

t「君の声がする」

夜が残る早朝、海のゆれる音と髪を淡く揺らす風が吹く浜辺を一人歩く。冷たくもぬるくもない気温が肌に触れて、まとわりつくように重い砂が次への一歩を邪魔する。
海と砂浜が混ざるか混ざらないかの場所で地平線を眺める。
風に煽られて海が踊り、その音だけが鼓膜をくすぐる。時間や季節によって魅せる顔が違うのが好きで、何度もここに足を運んだ。
ふと波に足を溺れさせる。このままいける所まで行っても構わないかな、と思う。大好きな、大切な存在にずっと騙されていたい。望まない結果と飲み込めない現実の狭間で、はっきりとしない曖昧な感覚に陥る。
波がひと際強くうねり、海の奥から突風が吹き荒れる。その勢いに勝てるわけもなく、浜辺へと導かれるように体ごと動かされる。
''ダメだよ"海が好きだった君の声がする。もう君はいないのに。

2/14/2025, 10:03:35 PM

t「ありがとう」

いつも感謝の気持ちを忘れずに
いつも笑顔で穏やかに気を配り
いつも言葉と態度で感謝を述べ
そんな人間になれる訳ないし、なりたいとは思わない
自分を隠してニコニコして機嫌を取って、ありがた迷惑にも頭を垂れて誰にも悪い事を見せない、そんな人間はなりたくない
私という人間は良い性格をしてるのでありがた迷惑には迷惑と顔に書いてお礼は言うし、気付いても知らないフリしてやばければ助ける、感謝の気持ち何てない寧ろ自分生きてて偉い、周りが自分が生きてる事に感謝しろ
なんてとんだ高飛車を並べてみる
ただどんな者であろうと自分は「ありがとう」という言葉をちゃんと言える人間は嫌いにはなれない馬鹿者よ

2/12/2025, 9:24:53 PM

t「未来の記憶」

来世はもっと幸せになりたい。
今はとても生きづらさすぎる。
だから来世こそは幸せになりたい。
毎日じゃなくてもいいから笑っていたい。
少し辛くてもいいから何かを成し遂げたい。
どんな小さな事でもいいから幸せを感じたい。
色んなものに見て触れて感じて自由に生きたい。
もう叶わない夢だけど来世ならと想像する。
幼い頃から憧れて考えた大人になった自分。
小さい時に浸った未来の記憶を思い返す。
頑張ったんだけどちょっと無理だった。
何だったかな人生の最期にしたい事。
ああ…そうだった…優しい自分の
叶えられる、唯一の想像と現実
最期は笑っておわかれしよう
さようなら笑って目を閉じ

2/11/2025, 9:40:16 PM

t「ココロ」

君と散々喧嘩してきた。たくさんぶつかって、たくさん汚い言葉を吐き捨ててきた。それは君も自分も良くしたい二人の未来があるから、何かにつけて衝突する事はあるけど、お互いに未来を良くしたいと思う気持ちは一緒だ。
だから君がどんな言葉を言おうと自分は受け止めるし、君はどんな言葉を自分が言おうと受け止めてくれる。
自分と僕はどんな困難に遭遇しようともココロが通ってるから大丈夫。乗り越えていけるよ、君と僕なら。

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