もしもタイムマシンがあったなら
過去に戻れるならどうする?
出来ない事を考えては勝手に気持ちが沈む。
全盛期だった頃に戻って、これからの事を知っていたとしても止められる自信はない。
休む事は息を止めるのと変わらない事だったから。
息をしている限り高みを目指して努力をしていた。
だから、未練はない。はずなのに…悔しいと思う気持ちが日々降り積もって、息をするのが苦しい。
未だに乗り越えられずに今ある立場を忘れてもがき苦しむ。
毎日忙しいはずなのに、ふと過去を思い出しては心が震える。
あぁ…タイムマシンがあるなら…
『助けて欲しい』
未来の僕がこれをどう克服したのか教えてほしい。
終わりにしよう
夕陽が落ちる頃、僕らは足を止めてこれからの話をした。
「終わりにしよう」
君からそう告げられて、君の背中から漏れる沈みかけの夕陽が眩しくて僕はつい目を細めた。それが何だか恥ずかしくて手で顔を隠した。
「ぶさいくな顔」
君はそう言っていつもと変わらない笑い顔で言った。
「仕方ないだろ眩しいんだから」
内心違う事を思ったけど、その言葉は引っ込めた。それを言うと君は顔を真っ赤にして怒ってドスドスと歩いて行ってしまうから。僕はもう少し君と居たいんだ。
「…今から恋人だからな」
「うっ…うん」
「ちゃんと自覚してんのか?」
「うるさいな!そうやって君はいつもっ!」
君から送られる熱い視線に気付き思わず口を閉じた。お互い両思いなのはわかってた。でもお互い踏ん切りがつかなくて今日を迎えた。色んな意味で区切りのついた今日、友達でありライバルである僕らはその関係に終わりを告げて、恋人になった。
夕陽が沈みもう眩しくないはずの君の顔は、やっぱり眩しくて少し夕陽のあとが残る色をしていた。
目が覚めると
ふと目が覚めた。
暗い闇のなか目だけを動かしてまだ夜なのか、と心の中でため息を着いた。
普通の人なら目が覚めるとカーテン越しに浴びる光に朝なのかと思い起きるだろう。どうやら私は普通ではなく、最近夜中に決まって目を覚ます。その原因が何なのか私自身は検討がついていない。
ふぅ〜と息を吐きゆっくり起き上がる。水でも飲むかと、体の乾きに応えようと動こうとした時、不意に何かにぶつかった。
あぁ、そうだなそうゆう時が多いかもしれない。
心の中でそう思ってぶつかった者を見る。隣で静かに寝息をたてている。君がそばで寝ている時は必ず夜に目を覚ます。
それは君が愛おしいからなのか、君が朝まで隣に居てくれるかどうか不安なのか、やはり私自身は分からない。
七夕
願いよ届け夜の川に
人の思いで繋ぐひとつの逢瀬
祝福するように輝く星々
祈るは幸せのみ
たなからぼた餅なんてよく言ったもんだ
なんだかんだラッキーだったけど…
ばかな君はそれですぐに幸せになってしまう
ただ、君の笑顔が好きな自分はもっと馬鹿
神様だけが知っている
僕らの常に死と隣合わせだ。
でもそれは、幼い頃からの憧れで、自ら選んだ名誉ある仕事だから不満に思った事は一度もない。
今隣にいる君だって、僕の隣から居亡くなるかわらかない。
でも僕たちはそんな有るか無いかもわからないような出来事を気にして生きてなんかいない。僕たちだけで過ごしている時はそれらしく過ごす。
君の少し高めの体温、強めの言葉から読み取れる優しさ、二人の時に流れる時間は何よりもかけがえのないものだ。
君と過ごす時間に得られる安心は、君の隣だからこそ得られる僕の幸せで、君もそれを理解しているからこそお互いが同じ気持ちになれる。
いつか殉職もあるような、そんな道を選んだ僕たちだけど、それは神様だけが知っている事で、今の僕たちはこの二人の空間を今を楽しむ、それだけでいい。