終わりにしよう
夕陽が落ちる頃、僕らは足を止めてこれからの話をした。
「終わりにしよう」
君からそう告げられて、君の背中から漏れる沈みかけの夕陽が眩しくて僕はつい目を細めた。それが何だか恥ずかしくて手で顔を隠した。
「ぶさいくな顔」
君はそう言っていつもと変わらない笑い顔で言った。
「仕方ないだろ眩しいんだから」
内心違う事を思ったけど、その言葉は引っ込めた。それを言うと君は顔を真っ赤にして怒ってドスドスと歩いて行ってしまうから。僕はもう少し君と居たいんだ。
「…今から恋人だからな」
「うっ…うん」
「ちゃんと自覚してんのか?」
「うるさいな!そうやって君はいつもっ!」
君から送られる熱い視線に気付き思わず口を閉じた。お互い両思いなのはわかってた。でもお互い踏ん切りがつかなくて今日を迎えた。色んな意味で区切りのついた今日、友達でありライバルである僕らはその関係に終わりを告げて、恋人になった。
夕陽が沈みもう眩しくないはずの君の顔は、やっぱり眩しくて少し夕陽のあとが残る色をしていた。
7/15/2023, 1:48:03 PM