透明な水
僕らは個性のない透明な水だった。
成長して自我が出て白色の水になった。
そこから何色に染まるのかは自分次第。
みんなに希望を与える水になったり
みんなに笑顔を届ける水になったり
みんなを堕とすまずい水になったり
個性と自我で透明な水だった僕らは
それぞれの色を持ち始める。
僕の隣にいる君は誰よりもまずそうな色で誰よりも優しい。
君の隣で歩いた僕は誰よりも君が辛かったかを知っている。
足掻いて足掻いて何度も諦めなかった君の心は、ぐちゃぐちゃで色んな軌跡が渦巻いてる。君の歩いてきた跡は何色にもかえがたい事だから誰もが避ける個性の色になった。
それを僕は知っている。
まだ透明な水のままの僕だけど、将来は君みたいな色に染まりたい。
忘れられない、いつまでも。
今でも鮮明に思い出せる、あの時の悲しみも心の震えも最後に見たあなたの顔も。
命の火が燃え尽きる時、それは本当に突然訪れる。
確かに前の日元気はなかった、言葉も話せないあなたはいつも通り眠った。
次の日の朝、私はいつも通り、いつもと変わらない朝を迎えていた。あなたが静かに息を引き取るまでは。
長くないと言われて蓋を開けたら言われたよりも長く長く一緒に過ごした。お互いに大好きで、いれる時はいつも傍に居た。あなたの顔が好き。あなたの愛らしさが好き。あなたの存在にいつも癒されていた。
あの日、あの時、あなたは私が視界に入るとゆっくりかたくった。泣いて泣いて泣いて、泣いた。今では泣いた顔でお別れをした事を少し悔やんでる。最後に笑顔でお別れすれば良かったと、たくさん泣いた後に思った。
まだあなたと生きたかった。まだあなたと笑い合いたかった。
亡くなったあなたをずっと引きずるわけにはいかない、けどあなたと過ごした日々は、いつまでも私の中で暖かな幸せとして残り続けている。
お別れした悲しみと今まで貰った幸せは忘れられない、いつまでも。
ありがとう、またね。
一年後
遠いような近いような手の届かない先の話。
私たちは未来をみすえて生きてるかもしれない。
夜のために朝やろう。
明日のために今日やろう。
未来のために今出来ることをやろう。
でも私たちが呼吸して生きているのは今だから。
一年後の自分のためにも、今生きてる自分も大切にいきたい。
初恋の日
恋に落ちた日を初恋の日なのか
恋を自覚した日が初恋の日なのか
幼い頃から傍にいるのが当たり前だった
落ちこぼれの僕は君のあとを追いかけるばかりだったけど
今は隣に立って君と同じ目標を掲げて生き急いでる
お互いが意識しあって切磋琢磨して僕らはもっともっと目標よりも高いところを目指す
君が無茶をすれば僕は追いかけた。
僕が無茶をすれば君が止めてくれた。
君に伸ばされた手を掴んだあの日、僕の気持ちの中に揺らぐものが出来た。
君が傷ついたあの日、僕の中の曖昧な気持ちが自覚となって言葉になった。
好きだ、と伝えるのは難しいはずなのに…。
どうして君はそんな簡単にこなしてしまうのだろう。
不意に聞いてみた、いつから?と。いつの間にか落ちてた。
短い言葉と君の表情から色んな事を読み取る。きっと君は僕が自覚するよりも早く恋に落ちてたのかな。
僕らは僕らが感じるよりも、初恋の成就の幸せに浸っているのかもしれない。
明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。
もし明日世界が終わるとしたら君は何を願う?
「壮絶な題名のドラマだね」
「願うも何も、願ったところで意味ないでしょ。しかも滅ぶ前提で願うって」
「ほんそれ」
「強いて言うなら夢を語るぐらいじゃない?」
「夢?」
「将来やりたかった事を楽しく話す」
「でも本当は明日があるかもしれないよ?そんな事で最後の日終わっていいの?」
「あるかないか分からない明日に思いを馳せるより、今を楽しく生きたいってだけ」
「なるほど〜」
「まあきっとドラマでは綺麗事が並べられてるさ、それもまた一つの生き方でしょ、きっと明日が続くように願ってるかもよ」
「そんな聖人君子いないでしょ」