太陽のような
私は昔、日の出る国に暮らしていた。
今は日の出がない国に暮らしている。
特に困ることは慣れてしまえばどちらの国に居ても同じような暮らしが出来る。もし不満を上げるとすればこれだろうか。
敷布団を持ち上げてベランダで干す。パンパンとほこりを落として、飛ばされないようにしっかり止めたら部屋に戻る。
お布団から太陽ようなにおいがしないことぐらいだ。
0から
空に輝く100点満点の星空は僕にはいつも眩しくて、憧れで、いつか僕もそうなりたいと思っていた。
僕は物心着いた頃は0だった。
君は物心着いた時は1だった。
0の僕が1の君と同じことをして叱られた。
1の君が0の僕を見て恨みがましい顔をした。
ある出来事で僕は0から1になった。
君はその頃には僕の何十歩も先にいた。
君を見て僕の1は0なんだと実感させられる。
僕を見て君はお前の前には俺がいると言われる。
僕の隣でいつも輝いて、幼い頃からの憧れだった1の君。
0の僕を見て前はいつもやっかみながら今は認めてくれた。
僕は君に追いつき、いつか追い抜く。貰ったんだ満点の星空から1を。満点なんかよりももっと先を君と一緒に目指したい。
君は常に僕の前を行くつもりかもしれないけど、満点を超えるときは僕が先に超える。秘密を共有した君と僕の静かな競走。
互いを認めあって0からスタート。
同情
君には色んな情をかけて、かけられてきた
悔しいことも苦しいことも嬉しいことも楽しかったことも
ほとんど一緒に味わってきた。
あの人にとって悲しいことがおきた。
何を言ってもそれはきっと意味はない。
中途半端な同情が人を傷付ける事だと、僕たちはよく理解しているから。
だから僕は、伸ばした手を引き、開いた口をぐっと閉じた。
枯葉
体を震わせる風が吹く秋の夕暮れ。
見上げた先の空に溶け込むような色を付ける紅葉たち。
地面には空から落ちてきたのか?と思わせる色の付いた葉たちがかさかさと話をしている。たまに風と踊りながら優雅に場所を変えては着いた先でまたおしゃべりをしている。
そんな事を考えながら自分の隣で傍若無人に空から落ちた葉をがさがさと、音を鳴らして楽しんでる人を見る。
そんな行動でさえ可愛く見えるのは、人肌恋しいとかそんな理由じゃない。
大きくなった君はいつの間にか目線の高さも合うようになり、言葉遣いも大人になった。そして、色んな事があって今、自分の隣に君はいる。
大人になったら失われる無邪気さ、君はそれをいつまでも持っていて、大人になったら忘れてしまう楽しさ、君はいつまでもそれを忘れない。
楽しそうだね
うん!今しか出来ない事だから!
大人になった君の、自分にしか見せない子どものような笑顔が好き。
今が秋の夕暮れで良かった。
今日にさよなら
おはようございます、こんにちわ、こんばんわ、さよなら、いただきます、ごちそうさまでした。
色んな挨拶を言えたかどうか、夜見えない天井を眺めながら始まる一人反省会。
不器用な自分だから、挨拶だけはしっかりしたい。
そう思ってからずっとそれだけはしっかりやっている。
目が慣れて少し天井が見えた頃、心に唱える。
今日の自分にお疲れ様。明日の自分にエールを。
頑張ったこんにちにさよなら。おやすみなさい。