元々、そう言うのは苦手だった。
言ったところで、伝えたところで、変わることは何もなくて。
そもそも、それがそうなのかさえ解らなくて。
だとしたら、どうすればよかったんだろうって、未だに考えている。
”愛を叫ぶ。”
その愛がどんなものだったかなんて、結局伝わりはしないんだ。
愛を叫ぶ。
例えば、この世界がそうだとして。
行き着く先が、そうだとして。
けれど、きっと気づかないんだろうな。
暖かな春に飛び回る彼らは。
一体どんな風に生き延びたんだろう?
”モンシロチョウ”
彼らは春の使者。いく末を導いてはくれない。
モンシロチョウ
思えば、それだけが現実だった。
時の流れはいつだって残酷で、綺麗に過去に変えてしまうのかもしれない。
それでも、俺達にとっては過去にならなくて。
そうなってしまえば、そう思えてしまえば良かったのかと、思わないわけじゃなかった。
……いや。多分、きっと出来なかっただろう。
過去にしてしまえば、俺達自身が生きていけなかった。
今を生きるためにも、過去にすることなんて出来なくて。
それが自己満足だろうが、ただの足掻きだろうが構わなかった。
”忘れられない、いつまでも。”
あの現実が、あの悪夢が、あの光景が、いつだって俺達を希望と絶望に導くんだから。
忘れられない、いつまでも。
多分、想像はできない。
いるか、いないか、正直解らないから。
居たいと願うほどでもないし、居たくないと思うほどでもない。
本当に中途半端で、どっち付かずの宙ぶらりん。
それを逃げと言われたら、娯楽は全て逃げなんだろうな。
真摯に向き合ったところで、報われることは数えるほどもなくて。
してこなかっただけなんて言われて、自分ならできた、なんて言われて。
頑張ること、努力することは大切だと思う。
望んだ世界に居続ける為には、膨大な努力が対価になる事もそれなりに解ってる。
それが、できなかっただけ。そうまでして叶えたい夢じゃなかっただけ。
”一年後”の世界で、平凡に生きてはいるのかもしれない。
それがどっちかは、今はまだ、解らないけど。
一年後
覚えているかと聞かれたら、はっきりとは覚えていない。
元々、そんな感情とは無縁だったから。
だから、考えないようにしていた。
ーーーなのに、突然落ちるんだよねぇ。
”初恋の日”なんて可愛らしい表現だけど、全部が全部そうじゃないって解ってる。
初恋の日