NoName

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3/1/2023, 1:59:02 PM

ずっと、ずっと、満たせないものがあるんだ。

不快で、目障りで、耳障りで仕方ないのに、どれだけ吐いても、閉ざしても、塞いでも満たされないこのナニカを満たしたくて。

だからひたすら繰り返したんだ。

吐いた分だけ喰らって、閉ざした分だけ光を集めて、塞いだ分だけ音を求めて。

それなのに、満たされるのは一瞬で枯渇して、すぐに飢えと渇きがやってくる。

本当は、解ってるんだ。この”欲望”が満たされることは絶対にないって。

それでも屠ることを止められないオレは、いずれ”欲望”に屠られるんだろう。




欲望

2/28/2023, 1:57:54 PM

 一体どれだけ歩いたのか、それはもう解らない。
ただぼんやりと、気の向くまま、足が向いた先を目指していたのかさえ曖昧で。

 ーーーそうしてたどり着いた街は、あり得ないくらい懐かしい姿をしていた。

「……何で」

 その問いに答える声はない。

 ーーーない、はずだった。


「ーー!! 何ぼんやりしてんだよ!」

 不意に聞こえた声に、思わず目を見張る。
 嘘だ、と声にならない声が喉から滑り落ちた。

「ーー? どうした? 何かあったか?」

 じっと見つめてくる目に、何も返せない。
 嘘だ、そんなはずは……。

「本当にどうしたんだ、ーー? お前がボンヤリするなんて珍しいな」

 ぽん、と肩に置かれた手は、確かにそこにあって。
 嘘だ、嘘だ! だって、こんなことって……。

「ーー」

 一番聞き慣れていた声に振り返るとーーー。

「ーーさん……?」
「お帰り、ーー」

 ーーさんはそう言って俺を抱き締めた。

「帰れたんだよ、ーー。ずっとずっと帰りたかった”場所”に、やっと帰ってこれたんだ」

 その言葉に、ようやく理解が追い付いた。

 ーーーあぁ、そうか。 ……そうだったんだ。

ストンと腑に落ちた途端に、様々な感情があふれて止まらなくなった。
それはーーさんも同じだった様で、今にも泣き出しそうに笑っていた。

「おーい! 2人ともマジで置いてくぞ!」
「むしろ置いてくか? 案外、面白くなりそーだしな?」
「その後が面倒だって、解ってて言ってるよね?」

 少し離れたところで、3人が俺達を呼ぶ。
それが泣きたくなるほど嬉しくて、帰ってこれたことをさらに実感して、感情に縛られた体はやっぱり動かなくて。

 ーーーでも、置いて行かれるのはもう嫌だったから。

「ちょっと! 置いていかないでくださいよ!」
「置いてくなんて3人ともズルいよぉ~!」

 慌てて駆け出した俺達を、3人は笑って待っていた。



遠くの街へ

2/27/2023, 2:18:43 PM

静かな部屋。本が積まれた片隅。

気紛れに見る動画。乱雑に物が散った机。

差し込んだままの携帯と、置きっぱなしの携帯ゲーム機。

立ち上げたパソコンに向かって、何をするでもなく書き込んでいくこの現実が、一番の逃避なのかもしれない。

ーーー明日なんて、来なければいいのに。



現実逃避

2/26/2023, 1:56:55 PM

ふわふわとした浮遊感。
地面に足が着いていない感じって、きっとこんなのかもね?
でも、ボクにとっては普通かな。
いつだって生きる行為は曖昧で、夢も現実も狭間では無意味で、終われない事実だけが希望で絶望だったから。

だからね、こんなのはボクにとっては”日常”でしかないんだよ。
それでいいんだって、そうしていかなきゃいけないんだって、思ってたのにねぇ。

それなのに君は今、こうして知りたいと思ってくれてる事実が、哀しくて仕方ないんだ。


君は今

2/25/2023, 2:49:10 PM

伝えたいことはいつも伝わらないまま終わってた。
言葉も、気持ちも、願いも、祈りも、何でか最後の最後で伝わらなくて。

だから、止めた。伝えたいことを伝えることを止めればいいんだって思ったから。
それなのに、どうしてこんなにも苦しいんだろう?

見上げた空は、何も言わないまま見下ろしている。
違うのに、あまりにもそっくりな色をしていたから。


そんな空に、”落ちてみたい”と思った。


物憂げな空

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