君はサンリッチレモンを知ってる?
薄い黄色が綺麗なひまわりなんだけどね。
花言葉も良い言葉なんだよね~。
後はねぇ、サンリッチオレンジってひまわりも良いよ~?
どっちも綺麗な花言葉なんだよねー。
だから、ーーに渡したかったんだけどさ。
時間もないし、ボクには似合わない花束になりそうだからさ。
ーーーだって、”願望”と”未来を見つめて”なんて、ボクにはもう関係ないからさ。
花束
ボクの友達、ーーって言うんだけど、いつも笑ってるんだ。
ニコニコ笑って色々話してくれるし、ボクの話も笑って聞いてくれるんだよ。
本当、呆れるくらいに優しくて、面倒見が良くてね。
ボクとしてはもう少し狡くても言いと思うんだけど、そんなところがーーらしいなって思うし、だから一緒にいるんだけどさ。
何より、こんなボクを見捨てないでいてくれるくらいには、優しくて友人思いなんだよねぇ。
……でも、知ってるんだ。
ーーは、笑っているけど、”笑って”はいないんだよ。
嘘じゃないよぉ~? だってそうじゃなかったら、もっと、ねぇ?
笑顔でいることが、必ずしも”笑っている”とは限らないんだよ?
道化にさえなれない”スマイル”をちゃんと見つけ出せていたら、ーーは、きっと”笑って”くれたのかなぁ?
……なーんて、今さら、なんだけどねぇ。
スマイル
”どこにも書けないこと”を聞きたい?
君は面白いことを言うねぇ?
うーん、そうだなぁ。
まぁ、あるにはあるよ。一応生きているからね。
でも、それを聞いてどうするの?
え? 単なる暇潰し?
全く、どうしようもないねぇ。
仕方ないから、1つだけ教えてあげる。
君はボクにーーーーってことを、さぁ。
どこにも書けないこと
カチ、カチ、カチ。
聞き慣れた針の音が、静かなセカイで時間を送ってる。
がらんとしたこの部屋で、一番価値があるのはこの時計かもしれない。
価値って言うか、”生きてる”って意味ならそうかもね?
くるくると回り続ける針は、まるでボクみたい。
決められたセカイで抜け出すことも、戻ることも、立ち止まることも出来ないんだから。
あ、でも1つだけ違うか。針は、ちゃんと”未来”に進んでいるから。
それはそれで、大切なことなんだろうけどねぇ。
”未来”へ価値を見いだせなくなったボクにとっては、単なる絶望でしかないんだよなぁ。
ーーーでも、君にとっては違うんだろうねぇ。
「”過去”に捕まったままのボクと、”未来”を見ている君の違いかな?」
だとしたら、ボクの結末は君にとっての”始まり”で”終わり”になるんだろう。
時計の針
無くしたくなかった。
失いたくなかった。
それは今だから言えることで。
ずっと、ずっと、一緒にいられるって、思ってた。
一緒にバカなことして、下らないことで笑い合って、些細なことでケンカして。
そうやって、一緒に歩いていくんだって。そうやって、一緒に生きていくんだって。
ーーーそう、思っていたのに。
一緒にいることが当たり前で。いつかは別れる時が来るとしても、それはもっと先のことで。
そのいつかを思うよりも、どうせなら一緒にいられるようなことをしたい。
ただ漠然と、けど、そうしたいと思っていたんだ。
ただそれだけ、だったんだーーー。
……でも、終わりは突然だった。
退屈なくらい当たり前な日常が、呆気なく壊れるなんて思わなかった。
ーーー正直、訳が解らなかった。
終わってしまった”日常”に愕然として、それなのに、”日常”に戻らなくちゃいけないことに絶望した。
ーーーだから。
かけがえのない日常を奪った”あいつら”を。
全てをなかったことにした”あいつら”を。
ボクは。
俺は。
ーーー絶対に許さないと決めたんだ。
溢れる気持ち