きみが旅立った日、空が泣く。
わたしの心を掴んで離さなかったきみは
わたしをおいて、消えてしまった。
掴んだまま。
いつになれば心の空は凪ぐ。
いつかわたしの心も凪ぎ、きみの元へ向かう時が
訪れるのならきみが旅立った時のように
わたしのために、この空は泣いてくれるだろうか。
君からのLINE、待つ時間
ラーメンが食べれるようになって
ネイルもできるようになって。
長風呂だってできるようになって。
日付を超えることができるようになって。
そして日付を7回超えることもできるようになって。
ついにはごめん寝てたですませるようになって。
ごめん寝てた?ああ、1週間だけじゃ足りなくて。
一生寝てろ。二度と目覚めるなって。
私のお母さんが彼のお母さんから聞いたって。
何者かに刺されたんだって。
お母さんが聞いてきた。あんた刺した?って。
私は答えた。「わたし『は』刺してないよ」って。
君からのLINE待つ時間って、
こんなにも面白かったかなって。
ありがとう。こんなに沢山の駒を用意してまで
楽しませてくれて。
駒たちの催眠術はまだ続くんだって。
みんな、催眠術が得意な子ばかりだって。
みんな、エースだもんね。裏切られてたって、
知ったらどんな行動とるかって。
分かるはずなのにね。
気がつけば、きみのことを目で追うようになっていた。
他の女の子にとられたくない。
そう思ってしまう。私のものでもないのに。
顔なんて、全然タイプじゃないのに
一緒に居たい、触れたい。なんて欲望が
湧いて出てくる。
どうやらこれは
流されて付き合うような、嘘気な恋ではなく、
本気の恋なのかもしれない。
カレンダーに書き込んだ、きみとの予定。
カレンダーを見るだけで、がんばれる。
嫌な仕事も、嫌いな人も、眼中に無い。
あと3日、あと2日、あと1日と、カウントダウン。
今か今かと、昂ぶる心をおさえつつ。
精一杯のおしゃれをして、髪も、お肌もスペシャルケア。
きみには、1番輝くわたしを見て欲しい。
そして、君が1番だって、言わせたい。
「だいすきです」この言葉が言えたなら
この曖昧な関係から抜け出して、
2人の予定をカレンダーに
書き込めたらいいな。
勉強しか取り柄のないわたし。
授業に興味がなさそうなきみ。
正反対のわたしたち。
何の因果か、共に学校から抜け出した、とある夏
きみがわたしの手を引き、走り出す。
手を引くきみの制汗剤の残り香が
わたしを掠めていく。
ああ、この慌ただしい胸の鼓動は、何によるものか?
こんなもの、習った覚えは無い。
うだるような暑さの中走ったから?
先生や親に怒られることへの恐怖?
唯一の自分の取り柄を捨てたことへの焦り?
否、これはきっと―――