勉強しか取り柄のないわたし。授業に興味がなさそうなきみ。正反対のわたしたち。何の因果か、共に学校から抜け出した、とある夏きみがわたしの手を引き、走り出す。手を引くきみの制汗剤の残り香がわたしを掠めていく。ああ、この慌ただしい胸の鼓動は、何によるものか?こんなもの、習った覚えは無い。うだるような暑さの中走ったから?先生や親に怒られることへの恐怖?唯一の自分の取り柄を捨てたことへの焦り?否、これはきっと―――
9/8/2024, 10:50:24 AM