NoName731

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勉強しか取り柄のないわたし。

授業に興味がなさそうなきみ。

正反対のわたしたち。

何の因果か、共に学校から抜け出した、とある夏

きみがわたしの手を引き、走り出す。

手を引くきみの制汗剤の残り香が
わたしを掠めていく。

ああ、この慌ただしい胸の鼓動は、何によるものか?
こんなもの、習った覚えは無い。


うだるような暑さの中走ったから?

先生や親に怒られることへの恐怖?

唯一の自分の取り柄を捨てたことへの焦り?

否、これはきっと―――

9/8/2024, 10:50:24 AM