サンザカ カイリ

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4/14/2026, 7:50:38 AM

深海に沈んだような青さだった
空を見つめているのにこのまま沈んでいけそうだ

手を伸ばすと指の隙間から熱を放つ真珠がじりじりと皮膚を焼いている

3/25/2026, 10:00:50 AM

【】

枯れ葉がコンクリートの凹凸を引っ掻いていた。
怖くてたまらなかった。
遠くで鳴るサイレンの音が今にも向かってくる気がした。
枯れ葉の爪の音。サイレンの遠吠え。僕たち以外の音や感触が大きな獣となって追いかけてきている。
最悪なシナリオが幾つも積み上げられている。それが増える度、手に募る汗が君を汚している気がした。

次はどこに行こうか。これからどうしようか。
全部守るから、なんとかするから、だからーー

「ねえ」
膨らんだ言葉をパンと潰すように声が響いた
「何を考えてるの?」
「え?」
「ずっと何も言ってくれないでしょ…私にも話してよ」
どこから話せばいいのか、何を言うべきか。言葉が濾過できないまま喉につっかえてしまう。
「…1人で抱えないで。一緒に居るんだから」
濡れた手を強く握り直してくれた。
情けないほど何も言えないままだけど、キツく絞られた喉が緩んでいった。
「…後で話そう」
ぬるついた手で君の手を鷲掴んだ。雑に絡まった指の先が頷いた。
汗をかき分けて皮膚に食い込む爪の感触。それが今そばにいてくれている、何よりの証明だった。
その感覚が滑り落ちないように何度も何度も握り直した。
手の中の雨はずっと降り続けていた。

お題:ところにより雨

3/22/2026, 3:15:05 PM



お題:バカみたい

3/19/2026, 1:00:42 AM

【滲む前に】

涙が頬を伝った。やけに痛かった。
こんなにも狭くて綺麗とは言えない空間が、私にとって唯一の孤独だ。
喉を必死に塞いでしゃくるのを抑え込む。
こんな場所で崩れている自分を抑える必要なんてないのに、依然として身体に刻まれてしまっている。
音もなく滴り落ちていくのも構わないままいつもの場所に座り込んだ。

おとといはあの人を怒らせた。昨日はあの子に迷惑をかけた。今日はやるべきことができなかった。
探せども探せども、掘り起こされるのは失態だ。
どんなに泥まみれになって必死に光を見出そうと、中から出てくるのは黒くてどろどろとした後悔ばかりで、ただいたずらに自分を汚すだけだった。
「あぁ、もう駄目だ…」
こうも部屋が静かだと負の感情がその存在を示すように這い出てきてしまう。

床に転がっていたリモコンを拾い上げ、スイッチを入れる。目に飛び込んできたのは爽やかな笑顔のニュースキャスターだった。
「明日の朝はスッキリとした晴れ模様になるでしょう!カーディガンを1枚羽織っておくと安心です。」
明日は天気がいいのか…
あとで着替えを用意して、朝ごはんは残り物のカレーにして、玄関のゴミ袋をなんとかしないと…
そこまで考えると、ピタリと思考が止まった。
明日が来たらまた今日みたいにひたすらと反省するんだ。
明日なんて来なければいいのに。
"これから"に関係するもの全てが忌々しくて、酷く恐ろしい。
もう逃げようかな。
私の代わりは沢山いるんだもんね。

ピコン

突然足元が光る。伏せてあったスマホを覗くと、そこには母からの連絡があった。
「最近どうしてるの?あんたはちょっと不安定な所があるからお母さん心配してるよ。ちゃんとご飯は食べてるの?」
母からの連絡は、全部を透かして見ているかのようだった。

ぐしゃぐしゃに崩れた顔を拭いながら空いた手でメッセージをうつ。
「今辛くて、お母さんに会いた」
「お母さんに会」
「今度帰ってもいい?」
今この瞬間が滲んでしまわないように、何度も打ち直した。


紙飛行機の形をした矢印に触れようとしたところで、落ちた雫とメッセージが混ざり合った。
ここで甘えたら全てが崩れてしまう。
今は、誰かに頼るのが怖くて堪らない。

「全然元気だよ!お母さんも体調大事にしてね!」
少しの間、その言葉から目が離せなかった。

お母さん。お母さんは私が今泣きながら生きていることを見透かしているのかな。
私が毎日隠れて気持ちが暴れないようにしていることを知ってしまっているのかな。
私は泣いてないよ。うまくやってるよ。昔みたいにお母さんを困らせたりしてないよ。


お題:泣かないよ

3/14/2026, 10:39:28 AM

お題:安らかな瞳

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