サンザカ カイリ

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枯れ葉がコンクリートの凹凸を引っ掻いていた。
怖くてたまらなかった。
遠くで鳴るサイレンの音が今にも向かってくる気がした。
枯れ葉の爪の音。サイレンの遠吠え。僕たち以外の音や感触が大きな獣となって追いかけてきている。
最悪なシナリオが幾つも積み上げられている。それが増える度、手に募る汗が君を汚している気がした。

次はどこに行こうか。これからどうしようか。
全部守るから、なんとかするから、だからーー

「ねえ」
膨らんだ言葉をパンと潰すように声が響いた
「何を考えてるの?」
「え?」
「ずっと何も言ってくれないでしょ…私にも話してよ」
どこから話せばいいのか、何を言うべきか。言葉が濾過できないまま喉につっかえてしまう。
「…1人で抱えないで。一緒に居るんだから」
濡れた手を強く握り直してくれた。
情けないほど何も言えないままだけど、キツく絞られた喉が緩んでいった。
「…後で話そう」
ぬるついた手で君の手を鷲掴んだ。雑に絡まった指の先が頷いた。
汗をかき分けて皮膚に食い込む爪の感触。それが今そばにいてくれている、何よりの証明だった。
その感覚が滑り落ちないように何度も何度も握り直した。
手の中の雨はずっと降り続けていた。

お題:ところにより雨

3/25/2026, 10:00:50 AM