波にさらわれた手紙
書いた手紙は数え切れず
送った手紙は数えられず
人並みに文章が書けない私は今日もまた彼に向けて言葉を綴る
モテモテの彼は、手紙なんて貰い飽きてるだろう
なら、少しでも特別に
文字は丁寧に、文章はちょっぴり個性的に、絵を添え、梱包も最大限丁重に可愛く、より良く、より良くと何度やり直しただろうか
まだやり直したいが今日は旅立ちの日
今日渡さなければもう渡す機会はないだろう
どうせ最後だ、直接渡そう
機会を伺う.
機会を伺う..
機会を伺う...
キーンコーンカーンコーン
最後のチャイムがなってしまった
君は、他の子と話している
「最終下校の時刻になりました。忘れ物に注意し速やかに下校しなさい。」
まずい帰らされてしまう
最終日だけあって生徒が残りすぎていた
皆が同時に出される
私も君も他の皆も
君と私の間には人が多すぎる
追い抜けるほどの隙間もなかった
終わった...
家に着いてしまった
渡せてないのに
涙が出そうだが責める相手が私しかいない
終わったんだな、私の青春
あれだけ書き直した手紙は、
いとも容易く人波にさらわれた
8月、君に会いたい
1月、君を知らない
2月、君を知らない
3月、君を知らない
4月、君に出会った
5月、君を知りたい
6月、君に会いたい
7月、君に会いたい
8月、君に会いたい
9月、君に会いたい
10月、君に会いたい
11月、君に会いたい
12月、君に会いたい
1月、君に会いたい
︙
︙
︙
あぁ、君に会いたい
眩しくて
僕には君が眩しくて
君には僕が見えてなかったみたいだ
熱い鼓動
貴方を思う時、私の鼓動は熱くなる
熱さが見えてはいけない、熱さを見せてはいけない
熱さを伝えてはいけない
ものに熱さを加えれば変化する
氷を熱せば水になる
水を熱せば水蒸気になる
小学生でも知っていることだ
私が好きになった貴方を、私の手で変えたくはない
「おはよう!」
「あぁ、おはよう」
必死に冷静を装う
私の鼓動は生ぬるい
タイミング
友達の好きな人を好きになった
あるいは友達が僕の好きな人を好きになったのかもしれない
友達がその人を好きだと言ったとき、僕は自分の思いを知ることとなった...はずだ
今考えるとその前から気づき始めていたかもしれない
どうだったであろうか
まぁそんな些細なことはどうでもいいのだが
困ったなぁ...困ってんのかなぁ...そう思いたいだけかもな
嫌な言い方をすれば僕は探していたのかもしれない
諦める正当な理由を
好きになる曖昧な感情にここという境目をつけず、
諦めるときは境目をつける
楽だ、考えることが少ない
それには好きな人が被るなんてのは都合が良かったんだろう
告白して振られた方がかっこいいだなんだ言われるかもだが辛いし、好きな人が被ったことを隠して、ただ友人を応援する人間である方がかっこよく見えると思う
タイミングが良かったんだか悪かったんだか
まぁタイミングなんてものは結果が出てからしか良し悪しを判断できないからな、そんなものに依存するなんてのは謂わば結果論の奴隷になるようなものかもしれない
はぁ...奴隷でいっか、楽だし
考えることなんてのは少なくていい
時間も脳も限られている
よし、僕は楽に生きるとしよう
頑張れ友よ!僕の涙が出る前に幸せになってくれ!