オアシス
好きな人との時間がオアシスって言う人いるよね
すごいと思う
私にはそうは思えない
緊張しちゃうし落ち着いてなんかいられないもん
涙の跡
放課後、校舎裏に男女が2人向かい合っている
誰がどう見ても告白するという状況に呼び出した女子も呼び出された男子も赤面、特に女子の方は夕日では隠しきれないほどに真っ赤であった
(もっと覚悟が早ければ、私の位置も違ったのかな...いや、こんな事を考えてはいけない自分から応援すると決めたんじゃあないか)
彼女は決めた言葉に向けてどんどんと他の言葉を紡いでいく
「…ところも含めてずっと前から好きでした、もしよかったら私と、付き合ってください!」
さぁ舞台も台詞も文句無し、後は返事を聞くのみである
悩み、そして返す
何時間にも感じる刹那が過ぎた
「ごめん、気持ちは嬉しいんだけど俺好きな人いるんだ」
その後も何か言っていた気がする、何も言っていなかったような気もする、結果以外が記憶に残るほど冷静ではなかったがきっと何かフォローをしていたんだろう
「正直に言ってくれてありがとう、お幸せにね!」
声を震わせながらもなんとか返事を返せていた
よく言った、貴方はなんていい人なんだ!
彼が去る
残されたのは彼女一人と私
精一杯慰めよう
彼女からの報告だ
「見てたと思うけど駄目だったよぉ」
さっきまではなんとか耐えていた涙が滝のように流れ出した
「よく頑張ったじゃあないか、相手に好きな人がいたんだろ、タイミングもあるさ、しょうがないよ」
「うん...」涙が少し落ち着いた気もする
「まぁ今は思う存分泣こうよ、落ち着くまで一緒にいてやるからさ」
「ありがとう」涙はまた勢いを増した
それから、小一時間その場で泣き、帰りながら泣き、家に帰って電話をつないでもまだ泣いていた
初めての告白だったもんなぁ
なんだか私も涙が出てきた酷い人だな
しかし、その涙は彼女が振られたことに対してではなかった
彼女の涙の跡は、私には埋められないのか...
私は彼女とは違って酷く醜い人間だ
彼女の友達として一緒に泣いてあげたかったな
恋心はうまくいかない
重なることない涙の跡に
私は何を思うだろうか
半袖
彼女と出会って三か月経ちました
守りたい人のか細さを知りました
もしも過去へと行けるなら
何度願っただろう
過去、現在、きっと未来でも望まれるのであろう
叶わないと分かってるのに望んでしまう
君との出会い方、もっとカッコつけたかったな
君とのあの会話、やり直せたらいいな
君とのあの一時、また過ごしたいな
君との別れは、もう二度と経験したくないな
未来人の一人でも来れば希望が見えるのに
そんなの一人も来ないから諦めざるを得ない
True Love
とある探偵事務所の話
「僕が思うに【真実の愛】なんてものは存在しないんじゃあないかな」
「というのも【真実の愛】なるものが存在するということは同時に【真実の愛でない愛】、まぁ【偽の愛】とでも呼ぶことにしようか、それが存在することを示してしまう」
「では何が【真実】と【偽】を分けるのであろうか」
「【愛】なんてものの価値観は曖昧で人による、尽くしたいもの尽くされたいもの、追いたいもの追われたいもの、依存するものしないもの、それらも含めてはっきりとした形がないものも多くいる、それなのに何か明確にして【真実】などと言えるだろうか、否、言えないだろう、もし言えるという愛の伝道師様がいれば是非ご歓談願いたい」
「まぁながったらしくなってしまったがやはり【真実の愛】なんてものはないんじゃあないかな、まぁ僕があってほしくないと思ってるだけかもしれないがな」
「なぁミケ、君もそう思うだろ」
「ミャ〜オ(知るかそんなこと)」
「興味ないって感じだな」
カランコロン
「おしゃべりはおしまいのようだな」
「いらっしゃいませお客様、本日はどのような真実をお求めですか?」