恋するひまんちゅ

Open App

涙の跡


放課後、校舎裏に男女が2人向かい合っている
誰がどう見ても告白するという状況に呼び出した女子も呼び出された男子も赤面、特に女子の方は夕日では隠しきれないほどに真っ赤であった
(もっと覚悟が早ければ、私の位置も違ったのかな...いや、こんな事を考えてはいけない自分から応援すると決めたんじゃあないか)
彼女は決めた言葉に向けてどんどんと他の言葉を紡いでいく
「…ところも含めてずっと前から好きでした、もしよかったら私と、付き合ってください!」
さぁ舞台も台詞も文句無し、後は返事を聞くのみである
悩み、そして返す
何時間にも感じる刹那が過ぎた
「ごめん、気持ちは嬉しいんだけど俺好きな人いるんだ」
その後も何か言っていた気がする、何も言っていなかったような気もする、結果以外が記憶に残るほど冷静ではなかったがきっと何かフォローをしていたんだろう
「正直に言ってくれてありがとう、お幸せにね!」
声を震わせながらもなんとか返事を返せていた
よく言った、貴方はなんていい人なんだ!
彼が去る
残されたのは彼女一人と私
精一杯慰めよう
彼女からの報告だ
「見てたと思うけど駄目だったよぉ」
さっきまではなんとか耐えていた涙が滝のように流れ出した
「よく頑張ったじゃあないか、相手に好きな人がいたんだろ、タイミングもあるさ、しょうがないよ」
「うん...」涙が少し落ち着いた気もする
「まぁ今は思う存分泣こうよ、落ち着くまで一緒にいてやるからさ」
「ありがとう」涙はまた勢いを増した
それから、小一時間その場で泣き、帰りながら泣き、家に帰って電話をつないでもまだ泣いていた
初めての告白だったもんなぁ
なんだか私も涙が出てきた酷い人だな
しかし、その涙は彼女が振られたことに対してではなかった
彼女の涙の跡は、私には埋められないのか...
私は彼女とは違って酷く醜い人間だ
彼女の友達として一緒に泣いてあげたかったな
恋心はうまくいかない

重なることない涙の跡に
私は何を思うだろうか

7/27/2025, 9:50:46 AM