「それでいい」
『それでいいんだよ』
君が優しく教えてくれた
自分なりの答えを握りしめた時
誰よりも傍で見守っていてくれた
『間違ってないよ』
君が優しく慰めてくれた
正解のない問いに足がすくんだ時
誰よりも傍で応援してくれた
『そのままの貴方でいいんだよ』
君が優しく言ってくれた
誰かと比べて劣等感を抱いた時
誰よりも傍で私を肯定してくれた
『それでいい』
優しい声音で
温かい瞳で
私の背中を押してくれる
今はもう君はいないけれど
ふと
私の傍で君が微笑んだような気がした
「1つだけ」
神様 1つだけ願いが叶うとしたら
私に多大なる富をください
大好きなあの子を幸せにできるほどの
たくさんのお金をください
神様 1つだけ願いが叶うとしたら
私を素敵な容姿にしてください
あの子がときめくほどの
素敵な美貌をください
神様 1つだけ願いが叶うとしたら
私になにか才をください
誰にも負けないような
確固たる才をください
皆の願いに触れていくたび
自分が望むものがわからなくなる
何を望めば
何が手に入れば
あの子は私に振り向いてくれるのだろうか
あの子を幸せにできるのだろうか
「エイプリルフール」
エイプリルフール、それは一年に一度嘘をついてもよい日だ。
ただし嘘をついていいのは午前中のみで、午後にはネタばらしをするというふんわりなルールがある。
だからと言って、過度な嘘はその後の関係に亀裂が入る可能性がある。
皆が楽しめるような嘘をつくのが定石だろう。
片や私も、今日、エイプリルフールで人間関係を壊しそうになった。
危うくLINEブロックを喰らうところだったが、なんとか回避した。
誰にでも失敗はある。
だが、していいことと悪いことの区別はつけておいたほうがいいだろう。
「幸せに」
きっと前世の私は、来世…今世の幸せを願ったのだろう。
私は今、とても幸せだ。
これまでの歩んできた道を考えてみても、「私は幸せ者だ」と感じる。
今まで大きな怪我をしたことがない。
漫画のような大規模、または陰湿ないじめを受けたこともない。
友達も、信頼できる人が数十人はいる。
勉強もできる方ではあると思っている。
ボランティアに参加したりして、少しでも誰かの役に立てるように努めている。
性格が良く、私のことを気遣ってくれる彼氏もいる。
親との仲もいい。
これだけ挙げても、まだまだ出てくるほどだ。
一体前世の私は何を差し出したのだろうか。
素晴らしい才能を持っていて、それを自分ではなく誰かの為に使うような人格者だったのか。
それとも、毎日祈りを欠かさない、清く正しい聖女だったりしたのだろうか。
今の自分ではとても考えられないが。
…それとも、前世の私は残酷で酷い生活でも送っていたのだろうか。
ただ、ありえないほどに幸せなのはわかる。
まるで、ルート選択のない、絶対に安全なトロッコに乗っている気分だ。
幸せになりたい。
そんな今でも、さらなる幸せを求めてしまうのは、人間の性なのだろう。
人の為に生きたい。
私は人の為に行動するという点ではとても不器用だ。
人馴れしていないのだろうか。
内気な性格なのは自分でもわかる。
ただ、こんなに幸せで、余裕のある人生ならば。
誰かの為に生きたい。
誰かを少しでも幸せにしてあげたい。
かつて、前世の私が行ったかもしれない、善の行動を。
私も、誰かの為に。
「何気ないふり」
誰かに気を使うのも、
誰かに手を差し伸べるのも。
何気なくすることで、まるで
「私は貴方に手を貸すことで苦しまないから、存分に手を取っていいよ」
と言っているように見えた。
私の憧れの人もそうだった。
どこかで、自分も傷ついているはずなのに。
私にはその部分を見せず。
いつも手を差し伸べてくれる。
そんな憧れの人に私はなりたいと強く思った。
でも、それはとても難しいことを知った。
どこかで、守りきれない部分が出てくるのだ。
憧れの人みたいに、完璧に救えない。
私は、皆を助けるヒーロー的な存在にはなれないのだろうか?
憧れの人はいつも慰めてくれる。
「完璧じゃなくていいんだよ」
そう言ってくれる。
いつも私のことを励ましてくれて、手を貸してくれる。
私も、誰かにとって、そんな人になりたい。
憧れの人が私にしてくれたように。
そう強く思った。