「幸せに」
きっと前世の私は、来世…今世の幸せを願ったのだろう。
私は今、とても幸せだ。
これまでの歩んできた道を考えてみても、「私は幸せ者だ」と感じる。
今まで大きな怪我をしたことがない。
漫画のような大規模、または陰湿ないじめを受けたこともない。
友達も、信頼できる人が数十人はいる。
勉強もできる方ではあると思っている。
ボランティアに参加したりして、少しでも誰かの役に立てるように努めている。
性格が良く、私のことを気遣ってくれる彼氏もいる。
親との仲もいい。
これだけ挙げても、まだまだ出てくるほどだ。
一体前世の私は何を差し出したのだろうか。
素晴らしい才能を持っていて、それを自分ではなく誰かの為に使うような人格者だったのか。
それとも、毎日祈りを欠かさない、清く正しい聖女だったりしたのだろうか。
今の自分ではとても考えられないが。
…それとも、前世の私は残酷で酷い生活でも送っていたのだろうか。
ただ、ありえないほどに幸せなのはわかる。
まるで、ルート選択のない、絶対に安全なトロッコに乗っている気分だ。
幸せになりたい。
そんな今でも、さらなる幸せを求めてしまうのは、人間の性なのだろう。
人の為に生きたい。
私は人の為に行動するという点ではとても不器用だ。
人馴れしていないのだろうか。
内気な性格なのは自分でもわかる。
ただ、こんなに幸せで、余裕のある人生ならば。
誰かの為に生きたい。
誰かを少しでも幸せにしてあげたい。
かつて、前世の私が行ったかもしれない、善の行動を。
私も、誰かの為に。
3/31/2024, 10:21:26 AM