#8 お祭り
[例祭]
それは、神社にとって最も重要な祭祀。
お囃子に合わせ、巫女による神楽が奉納される。
宮司が始まりを告げると、
雑音は消え、風にたゆたう木々の音が木霊する。
縦笛の音に合わせ、巫女舞が始まる。
巫女の動きに合わせ、大地に澄んだ気が流れる。
流れる気に合わせ、人々は気を新たにする。
なるほど。なぜ神事が大事にされているか、
あいわかった。
#7 神様が舞い降りてきて、こう言った。
[神一重]
幼い時、夢の中でねこバスをみた。
あのバスに乗れば、三途の川を渡れる。
何故だか乗りたくて仕方がない衝動に駆られた。
そっちにいってはダメ!
もうすぐ乗れる!と想った瞬間、
大きな御婆様のような声に引っ張られて、
目が覚めた。
それ以降、なぜか絶望的にみえる現実に
負けなくなった。
#6 誰かの為になるならば
[自分を忘れよう]
自分のために、
自分に出来る最大限の努力をしよう。
安全のために、
極端な行動は避けよう。
家族のために、
ご先祖様に感謝しよう。
友人のために、
自分の悪いところを抑えるようにしよう。
社会のために、
苦しんでいる人を見捨てないようにしよう。
自然のために、
地球に感謝しよう。
誰かの為に、
自分を忘れよう。
#5 鳥籠
[鳥籠の中の鳥]
子供は、無力だ。
1人で出来ることなど、たかが知れている。
先生は言った。
あとは、先生が何とかしておくから。
学校内は、みえない鳥籠が学生を守ってくれる。
親は言った。
貴方を養っているのは誰?
貴方は働いていないでしょ?
家庭内は、みえない鳥籠で子供を取り囲む。
鳥籠の中の鳥は、どちらにも適応できる鳥が
どんな姿なのか、一向にわからぬまま、今日も
心を悩ませる。
[籠の中の鳥は羽ばたく]
ある時、籠の中の鳥は気づく。
実は、鳥籠の柵をはめていたのは自分だ。
自分は無力だと、自ら諦めてしまったのだ。
例え、見える世界に恐ろしい柵があっても、
心に響かせなければ、心は自由だ。
自分は、見える世界に騙されているだけだった。
カチャ。柵のドアは、開かれた。
#4 友情
[恩返し]
大丈夫。
逢えなくなっても、貴方がくれた優しさは
いつまでも忘れない。
皆様は「いのちはみえるよ」という絵本を
ご存知だろうか?
全盲の女性ルミさんが、子供を授かり、
育児をしていくお話だ。
目が不自由な母親は、オムツを替えると
排泄物を素手で掬い取り、鼻で臭いを嗅いで
体調確認を行うシーンがある。
全盲とはいえ、そんなものを触ってまで
体調確認する意味がわからない。
所詮は他人ではないか。
そして、全盲でも「いのちはみえるよ」?
ますます意味がわからない。
愛がわからない当時の自分は、本気で
そんなことを考えていた。
そんな自分に、転機が訪れる。
遠くから見守ってくれるお友達ができたのだ。
そのお友達は、優しい心の目をしていた。
その目には、相手を思いやる心が宿っていた。
何も語らずとも愛は伝わる。遠くからでも。
私はこの時、愛を知った。
自分の場合、無償の愛を教えてくれたのは
お友達だった。愛に触れた瞬間、私の世界は、
お友達のやさしい世界に負けた。
それは、離れ離れになっても変わらなかった。
時とともに、あまりの愛の大きさに、
つぶれてしまうような感覚になるばかりだった。
道徳の乱れた現代において、愛を知ったことは
非常に幸運だった。お友達は、親ではなくても、
生涯1人でも大切に思ってくれる人がいれば
人は変われることを教えてくれた。
本当にありがとう。
かつての自分のように、1人でも愛を知る子供が
増えればいいと想って、今日も私は生きていく。