NoName

Open App

#4 友情

  [恩返し]
  
  大丈夫。
  逢えなくなっても、貴方がくれた優しさは
  いつまでも忘れない。
  
 

  皆様は「いのちはみえるよ」という絵本を
  ご存知だろうか?
  全盲の女性ルミさんが、子供を授かり、
  育児をしていくお話だ。
  目が不自由な母親は、オムツを替えると
  排泄物を素手で掬い取り、鼻で臭いを嗅いで
  体調確認を行うシーンがある。
  全盲とはいえ、そんなものを触ってまで
  体調確認する意味がわからない。
  所詮は他人ではないか。
  そして、全盲でも「いのちはみえるよ」?
  ますます意味がわからない。
  愛がわからない当時の自分は、本気で
  そんなことを考えていた。
  
  
  そんな自分に、転機が訪れる。
  遠くから見守ってくれるお友達ができたのだ。
  そのお友達は、優しい心の目をしていた。
  その目には、相手を思いやる心が宿っていた。
  何も語らずとも愛は伝わる。遠くからでも。
  私はこの時、愛を知った。
   

  自分の場合、無償の愛を教えてくれたのは
  お友達だった。愛に触れた瞬間、私の世界は、
  お友達のやさしい世界に負けた。
  それは、離れ離れになっても変わらなかった。
  時とともに、あまりの愛の大きさに、
  つぶれてしまうような感覚になるばかりだった。



  道徳の乱れた現代において、愛を知ったことは
  非常に幸運だった。お友達は、親ではなくても、
  生涯1人でも大切に思ってくれる人がいれば
  人は変われることを教えてくれた。
  本当にありがとう。
  かつての自分のように、1人でも愛を知る子供が
  増えればいいと想って、今日も私は生きていく。
  
  
  

  
  


  
  

  

  
  
  
  
  
 

7/25/2024, 2:55:25 AM