『センチメンタル・ジャーニー』
大好きだった 推しのタオルも
いつしかタンスの いちばん奥に
流行り廃りに 流されやすい
これでもわたしも 乙女のはしくれ
告白されりゃ ドキドキしちゃう
いろんな未来も イメージしちゃう
それでもちょっぴり こわくてことわる
そうしてその夜 センチメンタル・ジャーニー
いつかは本気の 彼氏に会いたい
わたしから口説きて 夢中にさせたい
「好きだ」と照れてる 真っ赤なほっぺに
ファーストキスを 捧げるの
優しくされたり 呼び捨てされたり
手と手が触れても 意識してしまう
まわりは早くて 恋バナばかり
取り残されてく センチメンタル・ジャーニー
いつかは彼氏と 旅行に行きたい
友だちといっしょと 親には嘘ついて
夢の国に行けたら そろいのグッズ付け
3人でまた 来たいと…言うの
『君と見上げる月…🌙』
月はほんとに あるのだろうか
二人に愛は 存在したのか
口下手だから 確かめてない
見上げるだけの 輝きに似てる
夢を語れば 夜空が飛べて
過去を振り返り 寄り添い泣いた
例え幻…だったとしても
見上げた月は いつでもあった
他人の心は 暗闇にある
すみかを探せば 傷つくだろうか
だから黙って 孤独がふたつ
君と見上げる 月を信じる
『空白』
空白の色が 白ならば
砂浜にたたずむ ワンピース
約束の時間 過ぎたって
潮風を噛んで 待ち続ける
空白の色が 黒ならば
夜道を歩いてる 野良猫か
人間なんぞにゃ 媚びないが
ほどこしくらいは 受けてやる
空白の色が 赤ならば
隣に住んでた お姉さん
いっつも真っ赤な ルージュひき
突然消えた 人だった
空白の色が 青ならば
それは小雨に 濡れる窓
いつまで経っても 忘れない
愛してくれた あの瞳
空白の色が 君ならば
おなかをすかした 子どもだよ
嘔吐をするまで 食べたくて
埋めたい愛が 足らなくて
『台風が過ぎ去って』
大型台風 進路予想図
住んでる場所へ コースを変えた
ホームセンター スーパー賑わう
菓子パンカップ麺 どんどん売れてく
カンカンガタガタ 雨戸が閉じられ
意外に風は まだ強くない
しだいに風が 空中で鳴いて
竹やりみたいな どしゃぶりになる
強風、強風 ブンブン、ドドド
そして停電 復旧、停電
そんな、こんなの 深夜が明けて
災害残して 台風一過
近所の人とは 情報交換
停電長びき 冷凍庫が…死ぬ
台風が過ぎ去り 日常が来る
人々は忘れる 「何かありましたか?」
『ひとりきり』
ノイズみたいな 縦線を引く
筆圧強めで 心の画用紙に
ついでに部屋から 夜へとはみ出る
そうか深夜は 黒に優しい
変えれぬ過去は 小説になる
時間が空くと ついつい読んでいる
見知らぬ未来が 通り魔に見えて
そして手首に 赤い川がある
声も涙も 解凍…出来ない
不気味なオバケは 無性に喉が渇く
定義、定理を さまよいながら
生ゴミみたいな 自己に同情
在庫整理も 高級品も
売られていつか 捨てられ消える
気づかれないまま 私は残る
ひとりきりだと 風呂さえいらぬ
季節はめぐり きつねとたぬき
むし歯の居場所が 非常階段
死んでもいいのに 治療はしたい
ひとりきりでも 縦線じゃない