『君が見た景色』
深く 深呼吸して
吐いた息が わたしにかかる
ぽとり こぼれる涙
のぞく瞳の とびらを開ける
それは 日常であって
とてつもない 忍耐の日々
赤い 血のようであり
塗りつぶした 黒い絵でもある
そっと 抱きしめていた
わたしがいると 鼓動で……伝えたい
君が 見た景色には
だれもいない 消し去ったんだね
傷が 深すぎるから
命さえも 危ないようだ
だけど そばにいさせて
同じだから ゆっくり……死のう
『言葉にならないもの』
言葉にならないもの
したくないもの
嘘やかすみになりそうで
どんなに愛していて
大切か…なんて
お店みたいに飾れない
小説なんかよりも
詩人たちより
甘美でしょっぱい芸術で
言葉はそっくりでも
あなたじゃなくて
だから黙って見つめてる
怒らせたくないから
囁くけれど
言えば言うほど枯れてゆく
言葉も花束でも
満足できない
愛は夢中で、息も忘れる
『真夏の記憶』
焦げつく太陽
汗ばむ素肌
灼熱の空気に
浮かれた夏休み
キンキンのコーラ
どろどろのソフトクリーム
熱々の大辛鍋
恥じらう恋……予備軍
がむしゃら めちゃくちゃ
がんばったって
ガシャンって 飛び散った
ガラスのこころ
ピーヒャラ 祭だ
ドンドン パ ドドン
にぎわった 輪のなかの
無酸素の孤独
ぎゅーぎゅー 予定入れ
生きるんだって
じぶんに ハッパかけ
しんでる每日
ビビビってメール
snsの通知
恋しているのか?
8月が……かけてゆく
『やさしさなんて』
ふわふわの 毛布のように
抱きしめられた ぬくもりみたいに
風邪の日の お粥のように
やさしさなんて 転がっている
あるはずの 星が見えない
それがどんなに 怖かったでしょう
そこにいる 存在こそが
やさしさという ひかり…だったのです
武器にして 盾にも使い
なんでもありの 百戦錬磨
傷つけて 殺しもしてる
やさしさなんて わたしの罪だ
しのぶ夜 寄り添うように
眠らず泣いてた あなたになって
あすもまた 見上げるだろう
やさしさじゃなく 愛と…名付けたい
『風を感じて』
やさしさという 風を感じて
繋がりという 風を感じて
ぬくもりに似た 時を抱きしめ
すくんだ足を 前に押し出す
地面の虫を 踏んだらなんて
怖がり歩く 人はいるのか
無残なほどに 冷酷なんだ
生きるってやつは 殺し屋なんだ
善と悪とを 入れ替えながら
大人になっなら もっと酷くて
それでもなにかで 折り合いをつけ
感情を消して 転がり落ちる
むくわれるとか 見返りなんて
ホントーはだれも 信じちゃいない
他人の不幸に 安堵を感じ
みくだせてやっと 手を差しのべる
すべてがそうだと 思ってしまう
傷つき過ぎて 怖くて震える
人って不思議で いろいろあって
簡単じゃない 裏があるんだ
やさしさという 風を感じて
繋がりという 風を感じて
まちがっていても 受けとめたくて
あなただったら 傷ついていい