NoName

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9/11/2025, 12:32:23 PM

『ひとりきり』



 ノイズみたいな 縦線を引く
 筆圧強めで 心の画用紙に
 ついでに部屋から 夜へとはみ出る
 そうか深夜は 黒に優しい

 変えれぬ過去は 小説になる
 時間が空くと ついつい読んでいる
 見知らぬ未来が 通り魔に見えて
 そして手首に 赤い川がある

 声も涙も 解凍…出来ない
 不気味なオバケは 無性に喉が渇く
 定義、定理を さまよいながら
 生ゴミみたいな 自己に同情

 在庫整理も 高級品も
 売られていつか 捨てられ消える
 気づかれないまま 私は残る
 ひとりきりだと 風呂さえいらぬ

 季節はめぐり きつねとたぬき
 むし歯の居場所が 非常階段
 死んでもいいのに 治療はしたい
 ひとりきりでも 縦線じゃない

9/9/2025, 2:58:24 PM

『フィルター』


 固定観念 色眼鏡
 偏見 思い込み いろいろあって
 脳にも関所 フィルターがある

 主観に客観 私的嗜好
 天気みたいに 答えも変わる
 それでも誰かを 評価してしまう

 フィルター自体は 悪くない
 理性は心の 番人にもなる
 そのままばかりじゃ 生きてはいけない

 それでもいつか フィルターが
 分厚くなって 通せんぼする
 傷つかないけど 死んでる世界

 

9/8/2025, 12:34:07 PM

『仲間になれなくて』



 群れるのが嫌い 二人組が嫌い
 三人組は もっと嫌い

 自分の時間が なくなるのが嫌い
 約束したら 眠れなくなる

 会ったら気を遣い 無言だけは避ける
 道化を演じ 透明になる

 LINEはいつも すぐに既読…返信
 私のメールは 既読すら無し

 ひとりが好きで 孤独は嫌い
 仲間は好きで 大勢はイヤ

 自由が大好きで 束縛も好き
 必要とされたら がんばり過ぎちゃう
 
 仲間になれなくて 安心してる
 なのに自己価値 暴落してる

9/7/2025, 11:08:12 AM

『雨と君』

  
 雨が降っても 傘も差さずに
 平気で濡れてて 気になったんだ
 それで風邪ひき 寝込んじゃうけど
 やっぱり雨に 濡れて帰ってた

 雨に濡れるの 好きだ…と言った
 一人ぼっちを 忘れられると
 相合傘を 誘ってみたら
 雨粒が可哀想 そう言っていた

 雨が嫌われ 泣かないように
 君は遊んで あげてたんだね
 僕も一緒に 濡れてもいいかい?
 遠慮を知らず 土砂降りになった

 平凡だった 日常がガラリ
 きらきら輝く 特別になった
 雨と君との 世界は優しい
 受け入れる事の 愛を知った


 

9/7/2025, 5:57:06 AM

『誰もいない教室』



 ふざけた声や 雑音もない
 夕日に染まった 並んだ机
 文字が残った 黒板を見つめ
 校庭の野球部の かけ声を聞いた

 いつからだろう 息苦しくて
 恐怖の場所なのに 懐かしいんだね
 友の名前を 見つけるたびに
 会いたくなってく… ぽろりと涙

 進路を決める 相談をする
 遅れた先生が 謝っている
 なんだか年老いた 未来にも感じる
 隣の母だけが 変わらずにいる

 これから私は どうなるのだろう
 他人事みたいで 上の空だった
 私は敗者で みんなは勝者
 どうやって死のうか? それだけが希望

 クラスメートの いない教室
 取り残された 過去へとひとり
 恋した事も 確かにあった
 流れ込む水流 水槽に変わる
 
 これから私は どうなるのだろう
 帰り際無理矢理 笑ってみせた
 しまった…とすぐに 後悔をした
 愛されたかったなぁ 生きてるうちに


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