残り香

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6/10/2024, 11:10:52 AM

やりたいこと


愛する人が、消毒の匂いが染みる場所へ寝込んでしまった。

長い廊下を抜け、409号室前の扉に立った。
白く重い扉をノックすると、低く深い音が廊下に響いた。

今日、届ける花はスイートピーで貴方に似て優しく、甘い香りがする。

ガーベラ、カスミソウ、トルコキキョウ…
そうして毎週、花を貴方に届け続けた。

青白い肌が、ベビーピンクにはならないでほしい。
そのままの色が美しいのです。


早くその腕で私を強く抱きしめてほしい。

今日は、私がずっとしたかったことをします。


私は貴方にシクラメンを届けました。


#04

6/9/2024, 2:18:17 PM

朝日の温もり

頬を照らすように、包むように、触れる、支子色。

僕に目を覚ませと言うように、朝日は目を照らしてくる。
眩しいので、髪で目を覆う。

少し臭うが、心地よいのは支子色の温もりのせいだろうか。

臭い。

パンの焼け焦げた匂いみたいだ。

僕が感じる温もりは、人と違うのだろうか。
心があたたかく、燃え尽きるような、そんな感覚だった。

白いベッドが黒焦げて灰になった。



それこそが僕に似合う朝日からの最後の温もりなんだ。


#03

6/8/2024, 12:42:24 PM

岐路

今立っているここは、どこなのだろう。
真っ白くて、霧に満ちている。
そっと息を吹きかけると、二本の道筋が見えた。

僕に足りないものは、「愛」と「友情」だった。
どちらを優先、大切にするべきか分からなかった。

自分ではどちらかなんて決められない。

いや、そもそも選べないんだ。二つを大切にしなければいけないんだ。

自分で自分の真っ直ぐな道をつくる。

迷うことなんてない、岐路が気付かせてくれたんだ。

必要なものを。


#02


6/8/2024, 5:47:29 AM

世界の終わりに君と。

深緑、青、自分の手じゃ掴めない惑星。

焦げ茶、細長い睫毛、白い肌、自分の手に触れない貴方。

世界が終わるとするならば僕は、辛くもないし、嫌でもない。ただ、そういう結末だと最初から知っていた。

でも、世界が終わってしまえば貴方も終わってしまう。
むしろそのほうが僕にとっては良いのかもしれない。

僕の手に触れてくれないのならば、モクレンのように散ってはくれないだろうか。
散ってくれれば、僕がその花弁を1枚手に取るだろう。
そうすれば、僕の手に貴方が触れてくれる。
そして、距離が一気に近くなる。

最後は、世界の終わりに君に口付けをしよう。


#01