片翼の悪魔が呼んでいるの
私の後ろ、ずーっと向こう
怒っているようで
とても悲しそうで
吸い込まれそうなほど深い
美しい黒に包まれて。
視界いっぱいに
白が舞い上がった
それはふわりふわりと
一本道を作るように
ゆっくり、ゆっくり、
小さな背中
その真ん中辺りに
紅色に染まる1片
透明に笑う弱さを
消さないように
離さないように
無垢なる者
死がふたりを分けようとも
何度でも来世を誓おう。
―――こんな夢を見た―――
見てない。
進みたい未来も
戻りたい過去も
望む道は特にない。
それでも望めというのなら
行くも帰るも思うままに
風の通りに水の流れに
気の向く方へ私を乗せて。
雨に降られたら綺麗にしよう
雪が降ったら道を作ろう
蝉の鳴き声で光が差したら
桜の香りに星を探そう
同じことをして1つ歳をとり
同じ話をして2つ歳をとり
足を揃えて瓦落多になったら
今際の国へ向かいましょう。
―――タイムマシーン―――
乱雑に重なった少女時代の思い出
忘れないくらい繰り返した
大好きな始まりと悲しい終わり
何回泣いてもまた泣きたくて
色褪せない幼き恋に胸を弾ませて
平行線上の全てに一喜一憂し
交わることの無い行く先に
神様さえも叶えられない
幸せな未来を願って。
長い長い闇の始まりは
お気に入りのマグカップと
ちょっぴり悪い甘い星屑で
丁寧に積み上げた今日の思い出に
終わりを知らない最愛の時間に
乾杯をしようと思うのです。
―――特別な夜―――
沈んで、沈んで、沈んで、
みんなが恐れる深い青だけが
私を光から隠してくれる。
親切な最後の危険信号は
マイナスの熱に痺れてしまえ
音のない穏やかな地の始まりは
まるで時が止まったようで
どうかこの時間が続くように
静かに泡を吐き出した。
―――海の底―――
いつだって私は本音を言えない。
不安、不満、悩み、相談
そして気づいたら
感謝とか、お祝いとか
そんな素敵なものまで
私たちからは消えていた。
---言葉にできない---