波が寄っては手を引かれ
泡音を追いかけ手を引いて
不揃いな欠片を探して
離した指の間から零れた
砂粒の白に反射して
きらきら揺れる水面のように
ふわふわ踊る海月のように
透き通る碧の奥
闇に隠れた珊瑚の中で
このまま2人溶けてしまえたら
╶╶╶海╶╶╶
私自分を好きになるから
私自分に自信を持つから
私沢山挑戦するから
私諦めたりはしないから
私たくさん考えて
私沢山学ぶから
忘れる以上に記憶して
いっぱいの楽しいを教えるから
私ってとても素敵なんだ
私って唯一無二なんだ
そう胸張って言えるように
時間はかかるかもしれないけど
必ずあなたを愛しにくるから
待っててね、私。
―――待ってて―――
土手を流れる穏やかな青
風に揺られても真っ直ぐ伸びる緑
空高く舞い上がる満月のような白
フードコートで頼んだクレープの
分け合いたくなるような甘ったるさ
ゲームセンター、絶妙な香ばしさの
キャラメルポップコーン
ラベルテープを間違えて塩辛くなった
あなた好みのミルクカフェラテ
太陽よりも早い雀の挨拶の声
私を追い越す色鮮やかな鈴の音
走り回る愉快な笑いと幼い響き
私の見るもの聴こえるもの
私がしたいことできたこと
私が考えること知りたいこと
私の世界に映るもの全て
あなたに届けたい―――
右を見ても左を見ても
見慣れたシャッターには
臨時休業の文字はなく
すれ違う白髪まじりの母たちに
あの頃の面影を見つけたくて
立ち寄るのはあの洋菓子屋
煤けた看板を掲げながら
並ぶ数多の宝石たちに
過ぎ行く制服たちも足を止め
懐かしさを背中に残して
夕暮れが暖簾を出す頃
増えるのは履き古した革靴
ぽつりぽつりと彩って
零れる灯りへ耳を向ければ
集う仲間の笑う声と
響く演歌の声高らかに
この町の朝は遅い
この町の夜は早い
この町は生きている
人知れず、時に働き時に休み
日常はみんな町と共にある
さあ行こう私の町へ
―――街へ―――
脆くて弱い飴細工のように
丁寧に包んであげること
柔らかくて愛おしい赤子のように
甘やかしてあげること
大きくて届かない月のように
離れて見守ってあげること
冷たくて痛い氷のように
時に突き放してあげること
煩くて苦手な鬼のように
本気で叱ってあげること
暗くて怖い雷雨の夜を
共に乗り越えてあげること
暖かくて優しい朝日を
共に迎えてあげること
―――優しさ―――