こねこ

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5/29/2025, 12:34:50 PM

『渡り鳥』

 私が生まれた町の川辺には毎年、白鳥が来る。白鳥たちは冬を越すために遠い国から渡って来ると聞いて、幼い私は不思議に思っていた。冬を越すのに、なぜわざわざ寒い時期のこの地に来るのだろうと。

 私は、この国の冬よりももっと寒い冬があり、もっと厳しい環境があるという事を知らなかった。せっかく来るのなら、暖かくて綺麗な花が見られる春や、プールや水遊びが楽しい夏や、美味しいものがたくさんある秋に来ればいいのに、と思っていた。

 なんて事はない、無知な幼子の可愛い記憶の話。

5/14/2025, 2:13:08 PM

『酸素』

たまたまそこにあっただけの
たまたま8番目の小さな粒たち
仲良く手を繋げるあの子はいい子
ひとりぼっちのあの子は悪い子

そう決めたのは世界だとしても
仲間外れにしたのは誰なのか
教えてくれよエラトステネス

篩から落ちた数字たちにも
割り切れない思いがあるように
肋骨を分け合った誰かにも
譲れない言い分があるはずで
とかなんとか言い訳しても結局は
もう全てが面倒臭くなってきて
さっきの酸素で燃やすため
部屋の隅で忘れ去られた
君の煙草に火をつける

5/12/2025, 12:01:30 PM

『ただ君だけ』


君にあげられるものは何も無いけど
君にあげられないものも何も無いんだよ



このおかしな矛盾は
何も持っていない私が
君にあげられる言葉

ただ君がそこにいるだけで
全ての意味が満たされる

5/1/2025, 12:54:03 PM

「風と」

どこかの木の枝から
私の家の玄関まで
風に吹かれてはるばる
花びらがやって来た


  いらっしゃい
  小さなお客さま

  少し休みますか?
  それともまた旅に出る?


スカートの揺れに合わせ
君は踊るように答える


 ふぅぁ…


      ひらっ…


            はらっ…



4/29/2025, 10:23:38 AM

貴方が私にくれたのは
絵に描いたような白い花

喜んで受け取るのは癪だから
花に罪は無いなんて言い訳をして
嬉しさを隠して受け取った


花弁を一枚千切って、好き
もう一枚千切って、嫌い

好き、嫌い、好き、嫌い、好き…


終わりの来ない花占いの
答えなんて本当は知っている

きっと花言葉まで調べて
この花を選んだ事も知っている

欲しいのは花束なんかじゃない事も
きっと貴方は知っている

だから貴方のことが好きで、嫌い

『好きになれない、嫌いになれない』

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