始まりはいつも突然
昔好きだったライダーの主題歌にこんな一節があったな、なんて最近しみじみ思う
急に転職することになったり
好きな人に出会えたり
何かが始まる時って本当に思いもよらないタイミングで来る時がある
人生であと何回、始まりはいつも突然だなあって思うかな
いつもはクールなあの先輩。
出勤前に会社近くの公園の前を通ったら
「にゃんだねきみは!にゃんだこのかわいさは〜!」
と言いながらすごい笑顔で猫撫でてた。
こちらに気がつくと、顔を赤くしたり青くしたりして慌てていた。
会社で顔を合わせた時、この光景を思い出して笑ってしまいそうだ。
ああ、あの顔は忘れたくても忘れられないや。
遅くまで飲んだ次の日の朝。
目覚ましもかけず、自然に目が覚め、時間を確認する。
出勤する日と同じくらいの時間に起きてしまったことを悟り、寝直そうとすると、ふと部屋の中に光が降り注いでいることがわかった。
カーテンは閉めているものの、外はもう明るいことがわかる。
厚いカーテンは開けて、レースカーテンだけの状態にしてみると部屋の中に明るい光が差し込む。
柔らかな光は、隣で寝ている彼の顔をそっと照らした。
穏やかに眠る彼の顔が、優しく包まれる。
彼が眩しそうにしていないことを確認し、私もまた眠るために彼の顔を撫でて布団に潜り直した。
そんな日曜の朝。
店内に入ってきた女の子。
それを見る彼らの眼光といったら。
男ってばこれだから。
小さい頃、家族でテーマパークに出かけると、毎回必ず風船を買ってもらっていた。
赤、黄色、青、ピンク、さまざまな色の風船があって、毎度悩みながら父にこの色の風船がいいとねだっていた。
いつもは大切に家まで持ち帰り、萎んでしまうまで部屋に飾っていたのだが、ある日ふと、この風船から手を離したらどこまで飛んでいってしまうのだろうと気になった。
大切な風船が飛ばないようにしっかり握りしめた拳を、小指からゆっくり緩めていく。
最後に人差し指を緩めると、風船は留まってくれることなく私の手を離れていった。
黄色の風船が、青い空に向かって旅立っていく。
いつ止まるかなとずっと見ていたが、風船はどんどん空へ昇っていき、黄色い点となり、やがて見えなくなっていってしまった。