踊るように
私は周りを見て、思った。
誰も、いない
これなら大丈夫、と。
とても気分が良かった私は踊るように歩いた。
鼻歌交じりで。
途中、くるりとターンしてみたりもした。
とても楽しかった。
……まさか、見られてるなんて知らずに。
次の日。
「そういえば昨日何か嬉しいことでもあった?」
「なんで?」
「だって、ほら
楽しそうに踊ってたからさ〜、珍しく。」
「えっ。」
時を告げる
〜♪
夕日を眺めながら歩いていると聞こえてきた。
何度も何度も聞いた、夕方を告げる音。
毎日毎日、
私がどんな気分であろうと、
その日がどんな日であろうと、
毎日同じ時を告げる。
燃えるような空。
巣に帰るのか飛んでゆく烏。
長く伸びる私の影法師。
そして、この音。
夕方の光景だ。
貝殻
視界一面の青。
海だ。
休憩のために寄った道の駅。
そこは海の近くで、砂浜に降りることもできた。
靴などの替えはない。
そーっと、そーっと、
寄せては返す波に濡れないように近づく。
「あ。」
私は、貝殻がたくさん落ちていることに気がついた。
これは、二枚貝……多分アサリ。
これは……なんだろう?
あ!これは巻貝だ!
シーグラスも落ちていた。
思う存分に拾い、ビニール袋にいれる。
砂も少し入れておく。
ビニール袋の口を固く結ぶと、
出発する時間になった。
家に帰ってきた。
私はビニール袋から拾ったもの……砂浜の一部を取り出し
外でしばらく乾燥させた。
乾燥しきったのを確認すると、
私は洗って乾かしたジャム瓶を取り出し、
砂浜を詰め込んだ。
底に砂を入れ、
さまざまな貝殻と
ところどころにあるシーグラスを上から詰める。
蓋を閉めると
まるで、そこに砂浜と海があるようだった。
その貝殻の瓶は、
今も部屋の机に飾ってある。
きらめき
それは、真冬のことだった。
どこかで
「今日の夜、流星群があるらしい」
と聞いた。
だから私は
流れ星を見たくて外に出た。
ドアを開けて外に出……れなかった。
寒い、寒すぎて出れない。
確かその時は沢山重ね着をして、
カイロ片手に外に出たと思う。
空を見上げると冬で空気が澄んでるからか
星がきらきらと輝いていた。
何分待っただろうか。
寒くて寒くて風邪をひきそうだった。
一時間に四十を超える数が見れると
聞いたはずなんだけどな。
あー、寒い。
もう限界。
風邪をひいたら駄目だ、もう戻ろうかな。
そのときだった。
私は確かに見た。
ほんの一瞬のきらめき。
その光は、少しの時間のはずなのに
他の星に負けじと輝いているように見えた。
あのきらめきは忘れられない。
些細なことでも
些細なことで感情が変化する。
少しでもいいことがあれば、
これからの人生もいいことがありそう!となるし、
逆に少しでも駄目だと、
もう駄目……この先も絶望しかない……となる。
なにか小さなことでも成功すれば、
自分はすごいやつだ!となるし、
少しでも失敗すれば、
自分は駄目だ……駄目すぎて無理……となる。
喜怒哀楽全ての感情が極端に、そしてころころと変わる。
たまにそれに疲れてしまうこともあるし、
それが普段の悩みになることも多いけれど、
マイナスの分、プラスもたくさんもらってきた。
朝の目覚めが良かっただけで
マイナスのことが起きるまで幸せ!
何もなければ一日中ハッピーなのである。
めんどくさいし、疲れるけど、
案外お得しているとも考えられる、
些細なことでも変化する心である。