日差し
ずっと空を覆う黒い雲。
朝からずっと曇り空。
たまには雨も降っていた。
一日終わり、帰る時間。
ふと上を見てみれば、
少し日が差していて、
光のカーテンになっていた。
とても綺麗な光のカーテン。
その内側で日差しを、
光を見てみたい。
窓越しに見えるのは
いつもと変わらない景色と、
窓に反射して映った自分。
反射したものとわかっていても、
もう一つの世界があるのではないかと錯覚しそうになる。
うっすら写った自分と外の景色。
窓って面白い。
赤い糸
「運命の人と赤い糸で結ばれているらしいよ!」
そう、誰かが言った言葉を思い出す。
未だ好きな人もいない、そもそも恋って?
という私は小指を見つめる。
いっそ、赤い糸が見えたほうが楽なのかもしれない。
好きも嫌いもわからない私は、そう考える。
でもいくら指を見つめようとただの指。
赤い糸は見えなかった。
いつか、見えるようになるのかな?
入道雲
朝、空を眺めながら歩いていた。
「上向いてどうしたの?」
「入道雲出てるから夏だなあって。」
「本当だ。」
このときに気づけばよかったのだ。
この入道雲は夕方には大雨をもたらすと。
夕方。
私は全力で走っていた。
「最悪っ、傘持ってないし、こんなときに一人だし。」
もう、頭の上から足の先までずぶ濡れだった。
体の芯まで冷えて、風邪をひくかもしれないと思った。
ゴロゴロッ。
私はさらに足を速めた。
家について温まって来た頃に、雨は止んだ。
静かだった。
突然止んで、今までが嘘かのように晴れていた。
「これなら、雨宿りしたらよかったな。」
私は空を見て呟いた。
入道雲は夏らしくていい。
でも、降り出したら厄介だ。
夏
「あつい……溶ける……」
大体休憩時は冷たい机にベタ〜っとくっついている。
「本当に溶けてる?!大丈夫?
はい、アイス半分あげる〜、この前のお返し。」
「ありがと。」
私は体を起こし、アイスを頬張る。
「生き返った?」
「うん。
あのままだと本当に溶けるところだった。」
「本当に溶けてるみたいだよね〜」
「夏が暑すぎるのが悪い。」
「まあ、確かに暑いけどさ。
じゃあ夏の好きなところと嫌いなところ言ってみて」
「うーん、好きなところは冷たいものが美味しいところ、嫌いなところは暑いところと何故か頭が痛いところ」
「それ、熱中症になってるよ?!」
「え?そうなの?
毎年そうだからみんなもそうなのかな〜って。」
「違う違う。
……今日水分補給した?」
記憶を引っ張り出してくる
「…………あ。」
「今すぐ飲もうか。」
「……はい。」
ある夏の会話。
※本当に熱中症には注意。