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入道雲
朝、空を眺めながら歩いていた。
「上向いてどうしたの?」
「入道雲出てるから夏だなあって。」
「本当だ。」
このときに気づけばよかったのだ。
この入道雲は夕方には大雨をもたらすと。

夕方。
私は全力で走っていた。
「最悪っ、傘持ってないし、こんなときに一人だし。」
もう、頭の上から足の先までずぶ濡れだった。
体の芯まで冷えて、風邪をひくかもしれないと思った。
ゴロゴロッ。
私はさらに足を速めた。

家について温まって来た頃に、雨は止んだ。
静かだった。
突然止んで、今までが嘘かのように晴れていた。
「これなら、雨宿りしたらよかったな。」
私は空を見て呟いた。

入道雲は夏らしくていい。
でも、降り出したら厄介だ。

6/29/2024, 10:11:13 AM