たとえ間違いだったとしても
正解なんてものはない。
ほとんどの人が
「これが絶対正解」
というものでも、間違いということもある。
そもそも正しい間違いの概念も人が生み出したものである。
だから答えは、無い。
自分自身で判断するだけ。
だから私は
たとえ間違いだったとしても自分を信じれるようにありたい。
今まで私が出した答えも正解と思えるように。
雫
その日の夜は雨が降っていた。
「天気は……」
今日も夕方に雨が降るおそれがあるらしい。
「いってきます。」
日に照らされ宝石のように輝いている草についた雫。
まだ、雨の香りが残っている空気。
今日は、何があるのだろう。
かすかに期待しながら歩いた。
その日は散々だった。
階段から落ちる、
お気に入りの物を無くす、
冤罪をかけられる、
陰口を聞く。
あぁ、今日は何をしてもうまくいかない日だ。
たまにはそんな日もあるけど、流石に、つらい。
ポツン
ザーッ
私の心を写したかのように雨が降り出す。
鞄から傘を探す。
「……あれ、ないっ、うそ。
もう、やだ。」
気付けば、涙が出ていた。
雨で、よかった。
泣いているのは見られたくないから。
ザッ、ザッ
雨が当たらなくなる。
振り向けば、
「傘忘れたの?」
と、いつもの調子で聞いてくる友達。
「うん」
「あれ?泣いてる?」
もう何に泣いているのかわからない。
「雨だからっ、雫だからっ。」
そうすぐにバレる嘘を並べながら歩き出す。
悪いことばかりで、失敗ばかりでも
案外、優しさはあった。
「ありがと。」
「急に?
まあ、どういたしまして。」
互いに笑いながら雨の中を歩いた。
家に近づく頃には雨は止んでいた。
何もいらない
言ってみたい気もするけれど、
私には合わない言葉。
もっと楽しさを見つけたい。
美味しいものが食べたい。
すごい人になってみたい。
笑っていたい。
今日は眠いから早めに寝たい。
でも、新しく借りた本を読みたい。
……欲望しかない。
けれども私から欲望を取ってしまったら、
何もできない物体になってしまう。
だから何もいらない、なんてことはことはない。
ただの物体になるほうが困るしつまらないから。
もしも未来を見れるなら
自分がちゃんと笑って生きているのかを知りたい。
心から笑えて生きていたのなら、
それまでにどんな失敗をしていても
それなりに幸せに生きているのだろうから。
本当は自分の失敗や、成功の方法を
知ったほうが得なのかもしれない。
それでも、
「未来を知るのはなにか違う」
と、思う自分がいるから。
結末も、途中もわかる物語より、
少し不安でも、わからなくても、
展開がわからない物語の方が面白い。
だから、とても不安で嫌になるかもしれないけど
自分の人生の道筋は見ない。
ただ、楽しいかだけ知りたい。
無色の世界
いつだったっけ?
色があるしわかるのに無いように感じたのは。
あぁ、そうだ。
「笑顔が気持ち悪い」
って言われた時だ。
その時、時間が消えて、気付けば、いつも通りカラフルなはずの景色も白黒に感じたんだった。
しばらく心から笑えなくなった。
泣きそうだった。
あんなに楽しいはずの毎日が、大嫌いになった。
怖い、何も見たくない、聞きたくない。
それを言った本人は楽しそうで、言ったことすら忘れたかのように私に接する。
「最近元気ないけどどうしたの〜?
顔、怖いよ?」
うるさい、うるさいよ、
ほっといて、かかわら、ないで。
私は何も言えずにうつむくだけ。
だけど、悪いことばかりではなかった。
支えてくれた人がいた。
だんだん色が戻って、また楽しさを取り戻して。
また、笑えるようになった。
そうか、私は笑顔が元気のもとだったんだ。
人の笑顔も、自分の笑顔も好き。
もう、あんな世界は見たくない。
自分は自分。
私は自分の道を行く。
支えてくれた人には本当に感謝している。
ほんとうに、ありがとう。