泣かなきゃ眠れない体になり、泣けない体になった。
もう、涙は枯れた。
私の心が悲鳴を上げると、月は慰めるように風で包んでくれる。
どうして20年も片思いができるんだろう。
私が狂っているから?壊れてしまったから?
15年も会っていない彼を。
私は私がわからない。
いつになったら枯れた涙は元に戻るんだろうか。
月に慰められなくていい日はくるのだろうか。
見上げた夜空に月はない。
今日は月は助けてくれない。
私の代わりに空が泣くこともない。
お題『空が泣く』
信号で停まったらニュートラルに入れて。
いや、入れなくて良かったんだっけ?
あれ?なんでいれるんだっけ?
そもそも何で、私はニュートラルに入れるようになったんだ?
おや?
余計なことを考えず運転に集中、集中。
「あ、そうか!」
「お母さん、突然叫ぶのやめてくれない?うるさいわ」
娘に言われて、運転しながら謝る私。
こんな、つまらないことでも、些細なことでも、あいつのことは覚えている自分に笑ってしまった。
「今度は突然笑うとか、不気味なんですけど?お母さんおかしいよ」
また、娘に言われて謝る私。
35年も前のことか。
しょーもないな、私。
お題『つまらないことでも』
毎日毎日、同じ繰り返しの中で生きていたら、感情の起伏がなくなった。
別に、この生活が嫌でも無いし、抜け出したいわけでも無い。
そんな感情はきっと過去に置いてきたんだから。
明日、もし晴れたら、墓参りに行こう。
あなたが眠る場所に、あなたとの思い出を語りに。
私の時計は、あなたがいなくなった日に止まってしまったままだから。
お題『明日、もし晴れたら』
注文して中途半端に飲んだコーヒーは冷めて、お世辞にも美味しいと言いたくない状況になっている。
車があれば簡単に来られるが、電車とロープウェイを乗り継いでやっと来られたんだから、長居しようなんて思うから迷惑な客になるんだ。
ささくれた心を少しでも慰めようと此処に来たのに、ささくれを傷に変えていく思い出ばかり。
もうダメだ。帰ろう。
残りのコーヒーを飲み干してから、伝票とカバンを手に席を立ち、窓を見た。
綺麗。
ただ、純粋にそう思えた。
心が、ささくれていても、弱っていても、この山の上にあるカフェからの夜景はキラキラしている。
微笑んだ自分の目から涙が流れた。
【みーつけた】
カフェから出てすぐに届いた1件のLINEに目を奪われていると、背中が温かくなった。
「どれだけ探させるんだよ」
お題『1件のLINE』
「どうする?もう一軒いくか?」
どこへ向けた言葉なのか、空に飛んだ声に私もよくわからない返事を誰もいない方へ投げた。
「うーん?」
私の言葉に何の返事もなく、ただ、誰のものかわからない見知らぬ声や音だけが流れていく。
私は、ただ何も考えずに、空を見上げた。
星空なんて見えるわけもない、ただ暗いだけの空だった。
「おいって、聞いてたか?どうするよ?」
繋がれて引き寄せられた左手が、真っ赤になってほてっていくような、ドクドクしているような、恥ずかしい感覚に陥った。
私はこの人が好きなんだと、他人事のように思った。
お題『星空』