通りすがりの字書き

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6/14/2024, 5:17:25 AM

暑い。
兎にも角にも暑い。
まだ、6月なのに夏ですか?
それか、なにかの罰ゲームですか?

ったく、太陽さんよ。そんなにジリジリ、ギラギラ照らさなくていいから、ちょっとは雲に隠れたりしてくれないかな。

私は右手を軽く目の前にかざして空を見上げた。


再び歩き出そうとしたところ、左手に自分の体温と違う何かを感じた。
「よお」
聞き覚えのある声がした方に目を向けて、すぐに手を振り払った。
「変質者みたいな行動は控えましょう」
だれが変質者だと言いつつ、また手を重ねてくる。
「あじさいみたいな人に騙される私じゃないわよ」
「それ前も言ってたな、意味わからんけど」
私はわからなくてもいいわと言いつつ、手をふりほどいた。

あじさい、別名で七変化、花言葉は移り気。
見つけた女でコロコロ変わる、取っ替え引っ替え男に転がされるのはまっぴらよ。

お題『あじさい』

6/13/2024, 5:47:02 AM

「お久しぶりですね。」
そう言われて、私はとてつもなく驚いた。
流れるような動作で出されたのは、琥珀色の液体が入ったロックグラスだった。
「えっ、あっ、はい。あ、ありがとうございます。」
数年前に数回来ただけなのに。やっぱりバーテンダーはすごい。私のような、できない営業とは訳が違うねぇ。

前にここに来ていた時は、酒の好き嫌い話で大盛り上がりしていたな。
絶対に飲めない酒。
これさえあれば元気になる酒。
なぜこれが好きで嫌いで。
そんな話が名前も知らない相手とできる場所はここ以外には見つけられなかったけど。

「スコッチウイスキー好きな彼はこちらに顔を出していますか?」
「今週はまだ来てないですね。」

会えるかな?会えないかな?
私のこと覚えているかな?覚えていないかな?
思春期の子供みたいなワクワクを募らせながら、ロックグラスを傾ける。

もし会えたら、私もアイラ系のウイスキーが飲めるようになったと伝えたいな。


お題『好き嫌い』

6/11/2024, 12:19:04 PM

この海だけが私を見ていてくれる。
私は法では裁かれないが、罪人だ。

私が彼から逃げたから、こうなったのだろうか。
何も告げずに彼の許を離れた罰なのか。
全てを隠したのがいけなかったのか。

ただ一つわかっているのは、私のせいだということ。

この海の前で、生んであげられなかった子に毎日謝っても、許してはもらえない。

あの街で彼に出会い、彼を愛した私が悪かったんだ、きっと。


お題『街』

5/19/2024, 2:11:35 PM

何かあったのか?
俺が、何かしたのか?
原因も理由もわからない。
どこへ行ったかもわからない。

ただ、5文字の冷たい言葉だけが書かれたメッセージがきただけだ。
そのあとは、連絡先が全て消され、姿を消した。
彼女が突然の別れを決めた理由がわからない。

彼女の友人達も何も知らない。
探し出す術がわからない。
どうすればいいのか?
彼女に逢いたい。


お題『突然の別れ』

5/18/2024, 2:33:39 PM

これはきっと試練なんだと思う。
最初で最後の。
長編何部作になるんだろう?と思うぐらいの片恋物語。
彼に心を奪われていた期間と同じだけ、忘れる期間も必要なんだと思う。
私の恋路は彼だけのもので幕を閉じる。

後悔はしていない。
たとえ片恋でも、それなりに幸せだった。
私の残りの人生、彼の幸せを祈り、彼への想いを一つずつ消し去ることだけを考えるよ。


お題『恋物語』

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