百加

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11/17/2023, 9:34:05 AM

はなればなれ


「それじゃね」
「うん」
「ちょいちょい帰るし、そっちも会いに来てよ」
「うん」

 彼の転勤が決まってしまった。もうすぐ電車が来る。
 これまでのように頻繁には会えなくなる。正直、泣きたいくらいに寂しい。
 でも今仕事を辞めるという選択肢は二人ともない。
「ついて行かないの?」
 無邪気なのか無神経なのか、その質問には首を横に振り続けた。
 素直について行くという性格をしてたら良かったのかな。でも私は自分の足で立てるようになりたい。

 彼を乗せた電車を見送って、はなればなれだねと呟く。
 それを繋ぐのは強い想いと運なんだろう。私たちにそれはあるんだろうか。





――そして、何年か過ぎて、
 今は二人一緒に笑っています。



#90

11/16/2023, 8:55:45 AM

子猫


小さくて、ふわふわしてて、
きらきらした瞳から目が離せない。
問答無用で私たちの心を鷲掴みにしてくるんだ。
この可愛い奴らは!
見かけたら近寄って手を伸ばさずにはいられない。
神様はどうして子猫とか子犬とか、こんな可愛い生き物を作っちゃったんだろう。



#89





11/15/2023, 1:22:59 AM

秋風


爽やかに吹く秋の風の音を爽籟(そうらい)というらしい。
なんて素敵な言葉だろうと、日本語の豊かさに目を瞠った。
(あの国民的マンガでこの言葉を知りました。)



#88

11/14/2023, 4:21:57 AM

また会いましょう


「じゃあ、また会いましょう。今度は飲みに行けたら嬉しいな」
 街で偶然会った彼女は、少し上目遣いをして笑いながら小さく手を振った。そして背を向けて歩き出す。
 俺は大きく息を吸い込んだ。顔が熱くなる。心臓がバクバク鳴り始めた。いつもなら社交辞令と思うところだけど……。
 でも、これは行くだろ。またっていつだよ? 
――決めるなら今でしょ!
 俺は腹に力を籠めて、彼女の背中を追いかける。
「待って。この近くにいい店あるんだ。よかったら今から――」



#87

11/13/2023, 1:51:50 AM

スリル


スリルが欲しかったのは、守られていた頃。
退屈な日常を維持する大変さなんて思いもしなかった。
(日常で冷や汗をかくことって結構あるのに!)

今は普通でいいよ。守りたいものがあるから。
ほんの少しのトキメキさえあればね。



#86





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