『あたたかいね』※ネタです。
僕は今日、友人と海に遊びに来ていた。僕も友人も、いつになくはしゃいでいた。
すると、友人はよそ見をしていたのか、その場で思いっきり転んだ。
「あたた、、、貝ね。」
友人の転んだ体勢が面白くて、2人で大声で笑った。
『星のかけら』
私の祖母は、とても強い人だ。それは体ではなく、心が。
祖母は4年前、重い癌を発症した。その日から、ずっと入院している。2年前に久しぶりに会った時はもう既に、体は痩せ細り、声は前よりずっと小さくなってしまっていた。
私の知っているおばあちゃんじゃない。そう思ったとき、祖母が私に向けて、満面の笑みを浮かべた。その笑顔を見た瞬間私は、なぜか無意識に涙を流していた。祖母が変わっていなかったことに安心したのもあるが、あんなに明るくてはつらつとしていた祖母が、こんなに弱々しく、小さくなってしまったことに対する悲しさが溢れたのだろう。
私はその日から、週に3日ほどのペースで放課後病院に通って祖母に会いに行った。
いつも私が病室に入ると、本当に嬉しそうな笑顔で、
「おかえり、よく来てくれたね。」
と言ってくれる。
「ただいま。」
私が笑顔でそう返すと祖母は、ベッドの横にある椅子を指差し、おいで、と手招きする。私は吸い込まれるように椅子に座り、祖母の手の甲に優しく手を置いた。
「もう少しで2月だね、まだまだ寒くて参っちゃうよ。まだ6時半なのに真夜中みたいに空黒くて。体調は大丈夫かい?」
「うん、全然平気だよ!朝は寒くてなかなか起きれないけど…」
照れ笑い混じりにそう言うと、祖母はにっこりして私の肩を撫でた。
「無理して来なくてもいいんだよ、学校が辛くて大変だって、お母さんからよく聞くの。」
私は昔、不登校になりかけて、よく祖母に話を聞いて貰っていた。だから今も、私を心配してくれているんだ。
「大丈夫だよ、私が来たくて来てるんだから。それにね、私文化祭の実行委員長になったんだ!みんなが楽しめる文化祭になるように、頑張るよ!」
「まぁそうなの、すごいわね、頑張って!」
「うん、ありがとう!」
「無理しすぎないでね、1人で溜め込まず周りに頼るのよ。」
この言葉は、祖母の口癖だった。学校が辛かった私を慰めようと、昔からずっと言い続けてくれていた。
「うん、ありがとう。」
窓から見える空には、無数の星のかけらが、1つ1つ輝いていた。
「あなたも、あの星の中の1つよ。周りの目なんか気にせず、自分らしく輝きなさい。」
そう言って祖母は、私の手をぎゅっと握った。
『追い風』
私には夢がある。それは、国民的アイドルになること。
きっかけは八歳の頃、姉に連れられて行ったアイドルのライブだった。
あの舞台で歌って踊る、綺麗で輝かしい女性たち、観客の一体感、そのすべてに魅了された。私もこんな風に輝いてみたい、心の中で何度も叫んだ。
私はその日から、歌とダンスの習い事を週六でこなし、暇さえあればアイドルのライブ動画を見漁って、表情管理や振り習得の練習をしていた。おかげで友達は一人もいなかったし、成績も酷いものだった。それでも、アイドルになりたいという強い思いで、一度も弱音を吐かなかった。
だが、思っていたよりも現実は厳しく、オーディションを受けては、毎回二次審査で落ちてしまっていた。
こんなに努力しても駄目なら、もう無理かもしれない。そんな言葉が頭をよぎる。世の中には、努力しても報われない人が山ほどいる。私もその部類なのだろうか。
いや、そんなことない、きっとまだ努力が足りないのだ。努力し続ければ、きっと夢を叶えることが出来る。そう思いながら前を向く。
私は今日も、追い風に吹かれながら、夢に向かって走り続ける。
幸せとは、
あたりまえと軽く笑える日常があること。
新しい1年の幕開けであるというのに、どうも私の心は去年の夏で止まっているような気がする。
今年の元日から来年の元日まで、きっと長い道のりのようで、一瞬のうちに過ぎていってしまうのだろう。