フレア姫

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12/1/2023, 8:26:12 AM

お題 泣かないで

「泣くな!! どうして泣くんだ」

急にぐずりだした妹に、俺は苛立ちながら言葉を投げつけた。

「だって、お兄ちゃん、わたしをおいてきぼりするんだもん」

どうやら歩き疲れてしまったらしい。中学生の男の俺と、まだ小学二年生の少女である妹とでは、歩くスピードやピッチが違いすぎる。

「しょうがない。家までおんぶしてやる。だから泣き止んでくれ」

俺はそう言うとしゃがんで、妹を招くように両腕を後ろに回した。

「ありがとう、お兄ちゃん」

泣き止んだ妹は、俺の背中にしがみついた。俺は妹をおぶさって帰り道を急いだ。

陽はとっぷりと暮れていた。冬の日の入りは早い。あっという間に暗くなる。自然と早足になった。家に帰りたい。温かな家に……

11/30/2023, 6:29:41 AM

お題 冬のはじまり

11/27/2023, 9:46:14 AM

お題 微熱

最後に放たれた渾身の一球が、キャッチャーミットにおさまった。
途端に湧き上がる歓声と拍手の凄まじさ。

遂に待ちかねたこの瞬間!!

割れんばかりの歓呼の声。鼓膜が裂けそうな叫び声が上空を突き抜けた。

熱に浮かされたかのようだ。

確かにこの場にいる人々は、微熱があったに違いない。

どうかこの熱が、来年も続きますように……

11/26/2023, 8:22:08 AM

お題 太陽の下で

すくすくと太陽の光で成長していく僕ら。太陽の下で葉を広げ、燦々と輝く陽の光を受けて育つんだ。

もっと大きく、もっと高くと育つんだ。

秋になったら実を結び、僕らの下で待っていた動物達の腹を満たす。

食べた後のタネから僕らの仲間が発芽して、陽の光を受けてすくすくと成長していくんだ。

僕らは太陽の下でずっと暮らしてる。

いつも輝いていてくれてありがとう。

11/25/2023, 9:54:45 AM

お題 セーター

今時珍しいな。手編みのセーターをプレゼントする女とは。

濃紺と明るい紫の糸が織り込まれて、あたたかみのあるセーターだった。

「紺と紫は高貴な方の纏う色なんだよ」

その女は可愛らしい笑顔でそう言った。

「高貴なのか?オレそんな奴じゃないぜ」

それでも女は眩い笑顔で微笑みかけうんと頷いた。

だが1年と経たずに、女はオレの元を去っていった。

オレとは気が合わなくて、他の男に取られてしまった。

女の重たい想いが詰まったセーターを残して……

そしてそのセーターを捨てられないオレだった。

もうオレが着る事は無いのに……

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