フレア姫

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お題 泣かないで

「泣くな!! どうして泣くんだ」

急にぐずりだした妹に、俺は苛立ちながら言葉を投げつけた。

「だって、お兄ちゃん、わたしをおいてきぼりするんだもん」

どうやら歩き疲れてしまったらしい。中学生の男の俺と、まだ小学二年生の少女である妹とでは、歩くスピードやピッチが違いすぎる。

「しょうがない。家までおんぶしてやる。だから泣き止んでくれ」

俺はそう言うとしゃがんで、妹を招くように両腕を後ろに回した。

「ありがとう、お兄ちゃん」

泣き止んだ妹は、俺の背中にしがみついた。俺は妹をおぶさって帰り道を急いだ。

陽はとっぷりと暮れていた。冬の日の入りは早い。あっという間に暗くなる。自然と早足になった。家に帰りたい。温かな家に……

12/1/2023, 8:26:12 AM